「西淀川公害を伝えるってなにを?」を開催しました。1日目(3/27)

3月27日~28日に、「西淀川公害から学ぶってなにを?」をあおぞら財団で開催しました。福島大学、龍谷大学、よつ葉ホームデリバリー大阪などの方達が参加されました。2日間全体で21名の方が参加されました。(地球環境基金事業)
二日目の様子はこちら

今回2日間のテーマは「今を生きる者として、公害から何を学ぶか」ということでした。
1日目の初めは、あおぞら財団の林さんからクイズ形式を交えての西淀川公害や、その他の公害、あおぞら財団についての説明が行われました。

公害に関するクイズ。
公害に関するクイズ。

全問正解はなかなか難しい様子。

1960年代の西淀川の空のスライドが映された時、皆さんは現在の空の様子との違いに驚きを感じていたようです。
あおぞら財団の役割はステークホルダーをつなぐことであるということ、地元の理解が大事であるという説明もされました。

全問正解はなかなか難しい様子。
全問正解はなかなか難しい様子。

次に公害患者さんの岡崎久女さんにお話をしていただきました。

たすきをかけてお話される岡崎さん。
たすきをかけてお話される岡崎さん。

岡崎さんにとってこのたすきは制服であると仰っていました。語り部をする時だけではなく様々な交渉の場でもかけて行かれるそうです。岡崎さんは西淀川に嫁いで来られ、公害病の患者認定を受けられた方です。
とつぜん始まった喘息の辛い症状や、病気から起こった様々な辛い体験を乗り越え、前向きに生きるようになったと言い、「好きでなった病気じゃない」「なぜ」という思いや、息子にとっては西淀川がふるさとであるという思いを受け原告になったとお話ししてくださいました。運動を通じて全国の人達にも会いにいった経験などをお話されました。いろんな人に支えられている、いろんなところで語り部をしているが皆熱心に聞いてくれている、自分が支えられていると語っておられました。

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岡崎さんのお話に聞き入っている皆さん。

 

【質疑応答】
Q:水俣でも患者認定の有無や対面など地域対立(分断)が起こったが西淀川の場合はどうだったか?
A:初めは公害であるという事自体がわからなかったし、今も人によっては公害患者であることを隠している人もいる。喘息の発作が昼間にわかりにくいため、近所の人々には病気の苦しみがわからない。夜に救急車を呼ぶことも憚られ、タクシーで通院するなどの周囲への配慮を行っていた。
※この質問に関しては林さんが「大気汚染では患者会という組織を作り、自分達の意見を積極的に主張して制度をつくった点が水俣とは違った状態であった」と補足説明をされていました。

Q:「たすきが制服」と仰ったが、この制服とは学校の制服のイメージなのか?
A:ジャケットのような感覚。これをつけると話しやすくなる。

Q:(福島の状況と比較しながら)公害認定がなされない段階で、加害側の企業が、自社の責任ではない、気のせいであるなど、公害が大した問題ではないと思わせる言説を流すようなことはなかったのか?(福島では実際にあった)
A:患者間で勉強会を重ねており、患者会の団結力でも乗り越えてきたためその問題に関する悩みは少なかった。
この他多くの質問が皆さんから出されました。

福島大学から来られている方がいたので、岡崎さんは原発の件にも触れ、原発事故の怒りを忘れてはならないこと、声をあげ、協力することの重要性を強調されました。

昼からは西淀川のフィールドワークを行いました。
バスで西淀川や尼崎の工業地帯の見学を行いました。この日は日曜だったため、交通量がいつもより少なかったです。
43号線からフィールドワークが始まります。
まず、43号線沿道ではどのような対策がとられているか林さんから説明がありました。

道路の対策についての説明をしている林さん。
道路の対策についての説明をしている林さん。
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光触媒について。
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「空気を監視する装置はどこにある?」

 

空気を監視する装置の内の1つ。
空気を監視する装置の内の1つ。
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中央分離帯部に設置されたピュア・プランター

 

こういった対策も大事だが、そもそもの交通量を減らしていくことはできないかという根本的な課題についても林さんは触れられました。

再度バスに乗り、尼崎や西淀川の工業地帯を見学します。川の水面と地上の高さに注目して地盤沈下の様子を観察しました。
車内から、湾岸線が見えます。大気汚染を減らすため阪神高速5号湾岸線側への迂回を促す取り組みがなされていると説明がありました。

淀川につきました。説明を聞き、淀川浸水想定区域図を見て、西淀川が直面しうる水害の切実さを感じました。現在の淀川ではウナギ・シジミがとれます。

淀川堤防沿いにて林さんによる説明。
淀川堤防沿いにて林さんによる説明。
川の土手で遊ぶ皆さん。とても楽しそうです。
川の土手で遊ぶ皆さん。とても楽しそうです。
クラゲもいました。
クラゲもいました。

再び43号線、淀川通りを通ります。ここからは徒歩であおぞら苑に向かいます。日曜日だったため、施設内の見学は行いませんでしたが、デイサービスセンターあおぞら苑の説明を受けました。
あおぞら苑は西淀川裁判の和解金の一部を拠出してつくられたデイサービスセンターです。高齢になった公害患者の方の日々の生活を援助するために、また地域の人々が誰でも利用でき、「西淀川に住み続けて良かった。」と思えるようにとのことで設立されました。

あおぞら苑にて。
あおぞら苑にて。
桜が咲き始めていました。
桜が咲き始めていました。
千北診療所にも立ち寄り、説明を受けました。
千北診療所にも立ち寄り、説明を受けました。

千北診療所は、かつては西淀川医師会と公害検査センターがあり、患者会の事務局もあった場所です。今も公害患者の治療にあたっています。

淀川通りを通って大野川緑陰道路へ向かいます。

かつて緑陰道路が川だった頃の写真を掲げて説明する林さん。
かつて緑陰道路が川だった頃の写真を掲げて説明する林さん。

フィールドワークを終え、あおぞら財団に戻ると4班に分かれてきょうのふりかえり(ワークショップ)を行いました。

ワークショップの説明。
ワークショップの説明。
1日目のまとめ。栗本さんがまとめてくださいました。
1日目のまとめ。栗本さんがまとめてくださいました。
ワークショップ中
ワークショップ中
悩みながら皆さんで意見を交わし合っています。
悩みながら皆さんで意見を交わし合っています。

【ワークショップの中で出た意見】
・西淀川が公害の町だと聞いていたため、実際に来てみて想像以上に綺麗だったことに驚いた。
・町歩きからいろんなことを学べた。
・福島と西淀川の問題に対して同じような対策は効果的かどうか。
・公害の経験があるのに経済成長ばかり重視…公害について深く考える人はどれほどいるのか。
・文理融合、トータルに考えることが大事。
・ステークホルダーの重要さを認識した。
・岡崎さんの、福島の人達は「もっと怒らな」ければならないという発言に考えさせられた。
・モスクが見学できたことが印象的だった。西淀川ではいろんな国籍の人々が生活していることもわかった。

【この時の質疑応答】
Q:工場労働者の中にも患者となった人はいた?
A:いる。被害者として原告になった人もいた。

Q:緑陰道路について人の集まる場所になったということは良いことだが、川ということ、その良さを隠してしまったのでは?
A:大野川は43号線建設により川をせき止めたことが原因で悪水がたまることになった。そこで埋め立てられたのであるが、公害患者がえがいた再生マップには緑陰道路に水を流したいという計画があったが患者さんたちの願いは叶わなかった。

Q:西淀川の汚染が下がったのは、阪神の震災により、大阪-神戸の物流が減ったことも原因か?工場の対策が進んだからか?
A:経済の落ち込みによる環境改善は確かにある。しかし公害裁判の成果としてつくられた自動車NOx・PM法のおかげで車の規制が行われ、現在はNO2の現在基準の上限基準値を下回った。
この日の最後に懇親会が行われました。

会話も弾み、皆さんとても打ち解けていました。
会話も弾み、皆さんとても打ち解けていました。

2日目に続きます。(村山)

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西淀川公害フィールドワーク用の地図作りのWS(11/11)

少し前の話となりますが、西淀川公害フィールドワーク用の地図作りWSを行いました。

西淀川・公害と環境資料館で受け入れているフィールドワークで使用している地図は2004年に日本市民スポーツ連盟・大阪府歩け歩け協会・あおぞら財団が協力して作成したウォーキングマップがあります。ですが、10年以上がたち、新しく地図の更新が必要となりました。以前基地局をしてくれたコンビニエンスストアの閉店や、あおぞら苑などの新しい訪問策も増え、講師の先生を迎えて地図作りのワークショップを開きました。

2015年11月11日(水) 10:30~
講師:嵯峨創平氏(岐阜県立森林文化アカデミー教授)

阪神出来島駅に集合をし、講師の嵯峨先生と参加者で、フィールドワークの時に利用するコースの確認をしていきました。

出来島駅から国道43号線にある出来島大気汚染測定所へと行きます。その過程にある、地盤沈下をしたため海抜何メートルにあるかといった確認をしたりもしました。また43号線で普段研修を受け入れた時に行っている国が行った対策についても説明を受けました。

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43号線手前で海抜のチェックをする参加者たち。
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大気汚染の測定所の説明をフィールドワークの時のようにしてもらっています。
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国の道路対策やPM2.5の説明をいつも通りしてもらっています。

その後、千北診療所やあおぞら苑へも訪れました。どちらも研修で必ず見に行く場所となっています。千北診療所に関しては地図に場所が書かれていますが、あおぞら苑はまだ地図に書かれておらず、現在地図を見て説明を行うのにとても不便な場所になっています。

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普段寄る千北診療所の位置を地図で確認する嵯峨氏と参加者たち。
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現在は記載されていないあおぞら苑についても、あおぞら財団の林さんから説明がありました。
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本日は地図作りなので中には入らず、説明が行われています。

その後、大阪マスジドにも訪れました。近年西淀川にはムスリムの方も増えた傾向もあり、またあおぞら財団では一度交流を持った事から大阪のマスジドを訪問する機会も増えてきています。そのため、普段寄るマスジドへも参加者と講師で直接見に行きました。
メラード西淀川の隣を通りながら、大野川緑陰道路へと入ります。中島大水道の石碑や、歌島橋についてフィールドワークの様子を交えながら説明を行いました。

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メラード西淀川を通り過ぎた所から緑陰道路へと入りました。現在地の確認をしています。
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緑陰道路を見渡す講師の嵯峨氏(写真一番左)と参加者のみなさん。
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中島大水道の石碑も確認しに行きました。

その後、午後からは講師である嵯峨さんを中心に意見を出し合うワークショップを行いました。

キーワードとして
・語り部
・場所の記憶
・人と自然のふれあいMAP
・大田区の工場街づくり
・古民家めぐり手帖
・地域のビジネス生態系
・農村企業のピラミッド
・地域創成のサーキットモデル
と言ったキーワードを中心に、参加者との話し合いが行われました。

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現在フィールドワークで使われている地図を広げて、ワークショップが始まりました。

嵯峨さんが持ってきてくれた数冊のマップを見ながら、参加者でどう思ったり感じたことを言い合いながらのワークショップとなりました。

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こちらが他の地域のマップの一部となっております。とてもオシャレでした。

想像しなかったような街づくりマップや自然マップなどを参加者で見つつ、「どれ」を見たら「何」が分かるかなどを考えつつ話し合いが進みました。
参加者からは公害が終わった地域で「終わったことを学びたい」と思われているということは、現在に興味を持ってもらえていなということになる。それはどうなのか、また現在についてどう思っているのか、またどうして表面的に終わらせようとするのかといった意見も出てきました。

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いろいろな地域の地図を見ながら出た意見をまとめている嵯峨氏(写真左手)
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みんなで意見を出しあっています。

ワークショップの最後には、大野川緑陰道路を見て「水」が基底になっているからこそ、水が大切なのではないだろうか。また、43号線は現代の象徴でもあるし、必要悪でもある。その必要悪に対し、どのような対策を行っていくのか。また、尼崎などの工場とのつながりが西淀川公害との関係性があったからこそ、細かい視点が必要なのではないかといった意見も出てきました。

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出されたキーワードを元に地図作りについての話し合いが進んでいます。

まだまだ地図作りワークショップには時間が足りませんでしたが、とても参加者にとっても有意義な時間となったと思います。
こういった意見を元に、今後もワークショップに使用する地図をどのようにしていくかといった話し合いが必要になってくるな、と思いました。
だれか見るか、どのように使うか、いろいろな視点を踏まえた上で作ることは簡単なことではなく、今後どうするかという課題が多く見えた一日となりました。

この事業は地球環境基金助成金事業として行いました。

(松ヶ平)

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第54回 IATSSフォーラム研修 3日目(10/21)

3日目はあおぞら財団でグループワークを行いました。

まず、3グループに分かれると、「経済活動と環境保全を両立させた持続可能な地域づくりはどのような取り組みを行うべきか」と言う質問に対して、意見交換や提案作りを行います。

参加者の皆さんは思う事も多かったようでどこの班も、盛んに意見交換が行われていました。A4用紙やポストイットに色々なことを書きこんでいる姿がうかがえました。班内での発表の時間になると班の中で質疑応答があったりと、どの班も熱心に話し合いをしていました。

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ペンの音だけしか聞こえません。
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A4用紙も次々と文字で埋まっていきます。
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いろいろ感じたり考えたことがたくさんあったんだと思います。

一度昼食を挟むと、次は班ごとで午後に行う発表会についての準備が行われます。

発表は
①班を一つの国と想定した上で、その国でどのような政策をおこなうべきか。
②西淀川で学んだこと。
この2点についておこなうため、それを想定した話し合いが行われました。

IATSSフォーラムではカンボジア・インドネシア・ラオス・マレーシア・ミャンマー・フィリピン・シンガポール・タイ・ベトナムの9カ国から、各国2名ずつが参加しています。
国の情勢や体制から全く異なる国々の方が参加をしているため、各班いろいろな意見の出し合いでした。ですが、どの班からも自分の国や今回西淀川で思ったことを踏まえた上で、話し合いをしているのがとても感じられました。

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発表の準備に取りかかりだします。
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文字に起こす人、話し合いを進める人、意見を出す人と役割が分担されています。
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最後の発表の準備が行われています。張る所がなくてガラスにも。

発表の時には、西淀川公害患者会の会長森脇君雄さんやあおぞら財団の職員がいる中でおこなわれました。

1班目
①班を一つの国と想定した上で、その国でどのような政策を行うべきか。
国名『エバーグリーン』
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持続可能なコミュニティ作りとして、環境・社会・経済の主な政策をあげた。
環境政策の主としたものでは都市計画がある。住宅と産業地域を分けておくことや、公園の配置について。また交通管理、公害を防ぐ対策も出てきた。
社会政策の中心としては健康保険の促進や社会保障の提供。参加者の国ではまだまだ健康保険などが進んでいない部分があるのが理由だと思われる。
経済政策には企業に対しての社会的責任、また免税だけではなく、どのような生き方や生活の仕方をしていくかと言っていた。
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②西淀川から学んだこと。
西淀川の住工混在地域を見た上で都市計画の必要性と、また過去に起こったことをきちんと伝えていく必要性がある。また、過去の経験を伝えて予防的な措置を取る必要が一番大切ではないか。事前の予防が一番大切だ。

2班目
①班を一つの国と想定した上で、その国でどのような政策をおこなうべきか。
国名『Green Empire』
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大気汚染対策をするにあたっての政策について発表が行われた。大気汚染政策を行うに当たって政府・NPO・NGO・市民・企業の立場の協力が必要になる。また、ステークホルダーの存在と協力が必要となってくる。
政府としては政策と規制を行い、法律のモニタリングなどを行い、インフラの整備などに資金を出すなどがある。NGOは政府の行うことを国民に知らせ、NPOが利害関係者をつないで協力させることが出来る。民間企業では情報の開示を行いながら、対話をして協力をしていく必要がある。市民は地域の支援を行い、環境に優しくする気持ちを家庭内から持つ。また情報や経験などをフィードバックするなどがある。
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②西淀川で学んだこと。
コミュニティや企業との関係を築いていく大切さ。また裁判で証拠をどのようにして証明するかがとても難しいことが分かった。また公害患者さんが多くのものを失ってきた事を知った。

3班目
①班を一つの国と想定した上で、その国でどのような政策をおこなうべきか。
国名『VERDE』
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この班は「②西淀川で学んだこと。」を学んだ上で、政策の発表をしてくれた。
②西淀川で学んだこととしては、地域と政府をつなげ、意識を高めていく心が必要。また公害裁判の時のように負けない心を持ち続けることが大切である。それは教育の場でも必要となってくる。
政策には各自が見なければいけないような状態ではなく、みんなが見れるように大気汚染の情報を報告する。また、何時悪いのかが分かった時には、フィードバックフォームを作成し、そこに記入してもらうようにする。またイベントごとにみんなで何かおこなって団結をするようにカレンダーを作成する。年配の方とコミュニケーションをとる日を作成し、その年配の方々と昔について考える日をつくる。これらのことをすることによって、意識は上がり、皆で協力するようになると思う。また一つ一つの事柄の必要性を考えることで深い考え方が出来る。

最後に「何故教育に関心を持ったのか」と聞いている人から質問が出ました。その問いに対し、
「若い世代が環境に対してどう思っているのか知りたかった部分があるし、興味を持っていた。私たちの国々の場合は環境に対する意識が低い。それをあげるには教育が必要だと思う。」と答えていました。

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一緒に発表を聞いていた森脇さんからは質問がありました。
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最後に参加者の方から感謝の言葉を頂きました!

最後には森脇さんを中心にみんなで記念撮影を行いました。

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みんなで記念撮影。とても勉強になった3日間でした。

とてもハードなスケジュールとなった3日間ですが、みなさんはとても真剣な様子で、またたくさんの質疑応答がありました。この3日間で考えたこと、見たことが少しでも心に残ってくれたら嬉しいなと思いました。また、こうした海外からの研修の方を受け入れる度にアジアの国の現状や、いろんな文化を持つ人と交流が出来、とても充実した3日間となりました。国外の問題にも目を向ける大切さを再確認しました。

3日間の予定です。そこからリンクで他の日も見に行けますので、ぜひ見てみてくださいね。
・1日目 裁判のお話や患者さんのお話を聞き、タンデム自転車で散策。
・2日目 43号線で説明を受け、あおぞら苑や大阪ガスへ。
・3日目 グループワークを行い、意見交換や提案作りをした上で発表へ。
(松ヶ平)

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第54回 IATSSフォーラム研修 2日目(10/20)

IATSSフォーラム2日目は朝からフィールドワークを中心に行いました。

43号線から尼崎の方へ抜け、尼崎の工場地帯や湾岸線を見てもらいました。また、中島や西淀川にある、尼崎とは少し違う工場も見て回りました。この日も43号線は混雑しており、大気汚染の原因にもなるとあおぞら財団の林さんから説明がありました。参加者の方々は食い入るように外を眺め、他の参加者と話し合う姿も見られます。

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出来島小学校前で説明を聞いてる参加者の皆さん。
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真剣な様子で記録を取っている姿がうかがえます。

43号線の出来島小学校の近くへおろしてもらうと、国土交通省地方整備局大阪国道事務所の方から、国の行った対策について説明が行われました。参加者の皆さんは必死にメモを取って、質問をしている姿が目立ちました。また、43号線で行われている対策を説明されると写真に収めている人が多かったようです。

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大阪国道事務所の方から説明を受けています。
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質疑応答にも多くの質問が出ていました。

お昼には大和田にあるハラールレストランで昼食でした。ムスリムの方もいたので、とても喜んでいました。

午後からはあおぞら苑の見学を行いました。
あおぞら苑で説明を受けていると、利用者の方から「他の国では介護はどういう状態なのか教えて欲しい!知りたい!」と質問が出ました。参加者のみなさんも積極的な様子に驚きが隠せていませんでした。

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あおぞら苑の方はみなさんに興味津津でした!

バスの中ではあおぞら苑の辰巳致さんと質疑応答の時間をとりました。

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あおぞら苑の辰巳致さん。

Q:何故、あおぞら苑を作ったのか。
A:月に3回、公害患者さんが看取られずに亡くなっていたことがきっかけ。現在は、利用者が全員で100名おり、公害患者は5%ぐらい。また公害患者さんは若い人が多いから少ないが、これから増えるだろうと思う。

Q:辰巳さんは西淀川生まれか。
A:西淀川生まれ。住めば都だと思っているし、西淀川のことが大好き。お金のある人は空気が悪い時に引っ越している。

Q:あおぞら苑を今後、どのような方向へと持っていきたいのか。
A:新しい施設を作りたいと思っている。保育所をやっている所と連携をし、子どもとお年寄りが一緒に過ごせるような施設を作りたい。

介護についてはまだまだ政策が整っていないからこそ、参加者の皆さんは真剣な表情で質問をしていました。

2日目の最後は、大阪ガスのHU+Gミュージアムの見学と説明を行われました。
大阪ガスは西淀川公害裁判の時の被告企業の一つでもあり、大阪ガスが現在どのような対策を行っているかといった説明を受けました。

まずは、HU+Gミュージアムの中を案内してもらいました。キッチンやリビングなど体験コーナーが多く、皆さん楽しそうに実際に体験を行っていました。特に、今までのリビングと、大阪ガスのリフォームしたリビングではどう体感温度が違うか実体験できるコーナーはとても人気がありました。

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大阪ガスのガスミュージアムの展示を見学中。
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説明に対し、みなさんすごく関心があるようです。
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展示の一部にあるこたつに大喜びでピースしてくれました。

案内が終わると、大阪ガスのCSR・環境部の宮里潤さんから説明が行われました。大阪ガスのガス事業の開始から近年の都市ガスにいたるまでの歴史や、現在大阪で行われているESDやCSRについて話してもらいました。また、バイオガスや風力発電といった取り組みも行っており、みなさんからは多くの質問が出て、とても盛り上がった時間となりました。

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大阪ガスにて説明をしてくださった宮里潤さん。
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大阪ガスミュージアムの一室にて説明を受ける参加者の皆さん。
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最後にみんなで記念撮影をしました。

朝の早い時間帯からフィールドワークでしたが、皆さん最後まですごく真剣な様子でメモを取ったり、写真を撮ったりしていました。疲れたかな、と思いきや、また夜に大阪城を見に行きたいと言っている姿を見て、本当にすごく元気でとても驚きました。

いろいろ思ったり感じたことを、最終日である21日に聞けたらなと思いました。

3日間の予定です。そこからリンクで他の日も見に行けますので、ぜひ見てみてくださいね。
・1日目 裁判のお話や患者さんのお話を聞き、タンデム自転車で散策。
・2日目 43号線で説明を受け、あおぞら苑や大阪ガスへ。
・3日目 グループワークを行い、意見交換や提案作りをした上で発表へ。

(松ヶ平)

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第54回 IATSSフォーラム研修 1日目(10/19)

IATSSフォーラムの研修で、ASEAN9ヶ国から18名の研修生を受け入れました。

1日目のプログラムの最初は「西淀川公害・地域再生の概要」であおぞら財団の林さんが講義を担当しました。
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あおぞら財団が設立された経過の紹介と現在取り組んでいる活動が報告されました。
住民と行政との関係性を大切にしながら、
1.環境の観点から自転車に着目した街づくりを推進しタンデム自転車の活動推進の事業
2.大気汚染公害の事実を伝える資料館の事業
3.学校教育との連携の事業
4.フィールドワークの積極的な推進で韓国や中国のNPOとの協力関係の紹介
5.患者さんの呼吸リハビリ促進の事業などに力を注いでいることが話されました。

次の講義は村松昭夫弁護士(あおぞら財団理事長)による「日本の公害訴訟―大気汚染公害訴訟を中心に」の講義で、
1.日本の公害・環境破壊の発生とその歴史
2.公害被害者が裁判を起こした理由
3.公害環境訴訟と賠償理論の前進
4.21世紀に向けた解決すべき公害・環境の課題等が話されました。

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講義の冒頭で、直近のNHKが放送したアンコールワットとミャンマーのバカン地域の発掘の活動を通じ、多様な文化や宗教の違いを乗り越えて発展させた東南アジアの歴史的な偉業は現代のEUの活動に匹敵する大きな活動であるとの感想が印象的でした。
今日の研修生の母国である方もいる放送の話だからです。

講義のあと「訴訟の最中に身の危険はありませんでしたか」や「裁判の後、大阪の経済はどのような変化がありましたか」などの質問がありましたが、「日本の法律と環境の中では身の危険はありません」「投資が他の地域に流れるようなことはありませんでした。むしろ、きちんと公害対策を行い、新しい技術を開発したところは日本の自動車産業が示しているように世界でも抜きん出た企業として発展しています」との回答がありました。

公害患者からのお話では、西淀川公害患者会の永野千代子さんから、
ご自身のお子さんが重度の喘息を発症し、西淀川公害裁判の一次原告となったことや、交通事故で死亡してしまったこと。永野さん自信も公害患者と認定され、原告を引き継いで闘いを続けた報告がされました。現在も週に5日も病院通いが欠かせない話もありました。
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昼食をはさんで、緑陰道路の観察歩行とタンデム自転車の緑道走行とがありました。
観察歩行では、「緑陰道路サロン」の天野さんから
1.緑陰道路がどのように活用されているか
2.四百年以上前、農民が自分達で資金と労働を提供して開削した歴史が紹介され
3.公害の酷い時代に空港までの高速道路の計画を住民が立ち上がって変更させ緑道にしていった経過や
4.緑道の下には大放水路が完成し集中豪雨にも対応できる現状が紹介されました。
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タンデム自転車は、あおぞら財団の鎗山さんが先導し福漁港の近くまで走行を経験しました。

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参加者は晴天の下で自転車を大いに楽しみ、公害発生源の合同製鉄所の話や、淀川の水面よりかなり下になっている住宅を見ることができ、防災の重要さの説明を受けました。

財団へ帰ってから三つのグループに別れ、今日のまとめを行いました。今日の経験を踏まえ、参加者の各国での公害や環境問題の現状と市民の関わり方が発表されました。
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Aグループ
・環境の問題はきちんとしたプランと市民との合意が重要
・人々の意識を高めることが大切で、署名運動などは大切であり、市民が自ら立ち上がっての裁判は重要
・予算も支援も大切である
自国の問題として
・廃棄物の処理や天然資源の減少に直面している
・シンガポールではマレーシアなど外国からの大気汚染がある
・環境に対する法律や基準が必要である
・ベトナムでは「環境警察」のシステムがある
・教育カリキュラムが重要、職場でも環境問題の共有を図っていきたい

Bグループ
・環境とコミュニティと社会のバランスが大切
・子ども達の将来を考えるとき環境問題はとても重要
・市民は政府の対策を待つのではなく、時には自ら立ち上がることも重要だ
自国の問題として
・自国には土壌汚染としてカドミウムの汚染問題がある
・ミャンマーやタイでは騒音の公害がある
・不法な森林伐採がある
・モリタリング評価を第三者機関でやりたい

Cグループ
・今日は協力、弾力性、都市の開発と青空、環境の活動とESDの大切さを学んだ
自国の問題として
・騒音、廃棄物の汚染、紫外線の照射、大気の汚染などがある
・人間の健康だけでなく、農産物に関しても影響が出ている
・人々の意識を変え、規則を作る
・自然災害に対する対策が急がれる

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最後にあおぞら財団の藤江事務局長は「今日参加の皆さんが、各国の大統領になれば公害は無くなると思う。西淀川はいろんな人々との共同に苦労しました。この地域は公害のデパートだったが、被害者の声を大切にして困難と向き合い、これが財団の活動の原点だった。この3日間の経験で深めてください。」とまとめられました。

3日間の予定です。そこからリンクで他の日も見に行けますので、ぜひ見てみてくださいね。
・1日目 裁判のお話や患者さんのお話を聞き、タンデム自転車で散策。
・2日目 43号線で説明を受け、あおぞら苑や大阪ガスへ。
・3日目 グループワークを行い、意見交換や提案作りをした上で発表へ。

(天野)

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環境省職員 現地研修受入 2日目(10/9)

環境省職員現地研修二日目は、朝から西淀川のフィールドワークを中心に行いました。
(一日目のブログはコチラから見れます)

バスで西淀川や尼崎の工業地帯の見学から始まりました。

まず、43号線沿いの歩道にてどのような対策がとられているか、国土交通省近畿地方整備局大阪国道事務所の方から説明を受けます。
43号線ではいろいろな対策が取られており、積極的に質問をしている姿も見られました。
実際に防音壁のある場所と、防音壁のない場所に立って、どれほど違っているのか体験しました。そうすると、防音壁があるだけでよく聞こえるといったことがよく分かります。
ですが、PM2.5の対策が難しく国も色々と悩んでいるというようなことも言っていました。

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43号線沿いからフィールドワークがスタート。

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道路対策について説明中。

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プランターにも対策がされています。

再度バスに乗ると、実際に尼崎や西淀川の工業地帯を見てきました。
かなり近場にある工場や、工業地帯を見ると皆さん驚いた様子を浮かべながらもカメラで写真を撮っていました。
尼崎の方へと行きましたが、まだまだ輸送するのはトラックが多く、車線を分けていても大きなトラックの姿が目に付きます。
外島や外島保養院跡の碑、淀川堤防などの見学を行いました。

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バスの中から真剣に外の様子をうかがっています。

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淀川堤防沿いで林さんによる説明中。

その後、あおぞら苑にて昼食をとり、あおぞら苑の辰巳致さんから話を聞きました。
なぜあおぞら苑を建て、どのような想いを持っているのか熱く語ってくださいました。
あおぞら苑とあおぞら苑Ⅱに分かれて昔の西淀川についてヒアリングしてもらうと、最初は戸惑った様子を浮かべているけれど、1時間たつと皆さんとても楽しそうに話をしています。

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辰巳さん(真中)があおぞら苑の説明をしてくれています。

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あおぞら苑にてヒアリング中。

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みなさん楽しそうに話をされています。

名残惜しみながらあおぞら苑の皆さんと分かれると、ここからは徒歩で千北診療所や、大阪ハラールレストランや西淀川にあるモスクの近くへも寄りました。モスクの下にあるお店で珍しい飲み物を買っている方もいて、とても楽しんでいました。

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千北診療所にも立ち寄りました。

大野川緑陰道路を徒歩で移動しながら、以前どんな川だったのか、昔と現在の状態を説明しながらあおぞら財団へと戻ります。

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大野川緑陰道路が川の頃の写真を見てもらってます。

あおぞら財団に戻ると4班に分かれて、ワークショップを行いました。
実際に分かれてワークショップを始めると、皆さん意見をまとめたり、班の中で意見をすり合わせていくことに迷っていたりと酷く悩んでいる様子でした。

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4班に分かれてワークショップ中。

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悩みながらみなさん話し合っています。

発表はあおぞら財団の職員や患者会の上田さんなど皆さんの前で行います。
西淀川の良い所としては、
・思ったより、西淀川の空気が良かった。
・整備をされた町だった。
・年配の方が元気な姿を見ると、医療が充実しているからではないか。
・西淀川全体が新旧混合をしており、面白さがある。
・転入者が多い。
などがあげられました。

逆に悪い所として、
・においや騒音などの公害がまだまだある。
・地盤が低く、津波の心配がある。
・工場が多く、道路がとてもうるさい。
・車の事故や健康被害が心配である。
・隠れた患者さんの存在があること。
など、実際に西淀川を歩いてみたり、患者さんたちに触れ合ったからこその意見が多く出ました。

今後、自分たちに何が出来るか、といった問いに対して、
・現場に足を運ぶ大切さを知った。
・諦めない心を持つということが大切。
・被害者や違う立場の人の事を考え、また現場に触れる事の必要性がある。
・人の話を聞き、助け合っていくことが大事だと思う。
・元々の目的を思い出す必要性がある。

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最後に各班ごと発表をしました。

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いろいろな意見も出てきました。

多くの意見や感想があり、患者会の上田さんからも
「続けていく必要性を説いてくれたのはとても嬉しい。」と環境省の皆さんに話をされていました。

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最後に上田さんからもコメントをいただきました。

今、いろいろな問題があり、職員の皆さんも質疑応答の時に自分の今の状況を見て質問している方も何人もいました。
私も移動の時にいろいろな部署で働いている方とお話をする機会があり、いろいろなことを聞けた良い機会となりました。
こうした研修で、実際に思うことや考えることを話すことで、研修に来た皆さんにとっても、私たちにとっても、とても有意義な時間となりました。
研修の時に考えたことや思ったことを、少しでも今後に活かせたらいいなと思います。

(松ヶ平)

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環境省職員 現地研修受け入れ(10/8)

少し前の事になりますが、
10月8日~9日に、環境省職員の現地研修の受け入れをしました。
今回は12名の方が西淀川でのフィールドワークやエコミューズの見学などを2日にかけて行いました。


1日目はあおぞら財団で、林さんから西淀川公害やあおぞら財団の説明が行われました。

西淀川について説明をしている林さん。
西淀川やあおぞら財団について説明をしている林さん。

西淀川の歴史や公害についてふれ、地域再生プランやあおぞら財団の行っている活動など過去から現在にいたるまでの話をしました。その間、職員のみなさんは聞き入り、メモを取っている真剣な様子がうかがえました。


その後、西淀川公害裁判原告弁護団であり、CASA(地球環境市民会議)の理事でもある早川光俊弁護士から西淀川大気汚染公害裁判についての話をしていただきました。

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早川光俊弁護士。

西淀川の公害裁判が実際以下になぜ解決まで20年近くも時間がかかり、立証が難しかったのかを当時の体験談も交えて説明してくれました。普段はなかなか聞けない当時の話もあり、環境省のみなさんだけではなく、スタッフである私も聞き入ってしまいました。
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皆さんとても真剣に聞き入っていました。

その後の早川弁護士との質疑応答では、
Q:長引いていた裁判では、どのようにしてモチベーションの維持をしていましたか?
A:実際に患者さん、特に子どもや年配の方を見に行ってくることです。現場で被害者の方を見てくると、「被害者の方がいるから、自分たち(弁護士)がいる。」という感情がわいてくるからです。
Q:西淀川裁判では原告が726名とかなり多かったですが、どのようにして原告を集めたのでしょうか?
A:患者会の影響がとても強かったため、原告になってくれた患者さんが多かったのです。
Q:公害認定患者さんに対し、未認定患者さんもおられます。なぜ未認定の方も多いのでしょうか?
A:未認定患者さんがなぜ多いかというと、「結婚や就職が出来なくなる。」「地元で知られたくない。」など、色々な理由がありました。当時は誹謗中傷が酷かったために、辞退した方が多かったのです。


公害患者さんの岡崎久女さん、池永末子さん、上田敏幸さんから話をしてもらいました。
公害反対運動の話や、環境省との関係についての話の中心となりました。岡崎さんは認定患者さん、池永さんは未認定患者さん、上田さんは息子さんがぜん息で現在患者会の事務局長という立場からの話も聞かせてくれました。
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左から、林さん、上田さん、池永さん、岡崎さん。
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質疑応答もたくさん質問が出ていました。

質問では、生協の方との連携があったとの話に対し、
Q:なぜ当時生協に入っているお母さん方に着目をしていたのですか?
A:食と健康に関心を持っているお母さん方が生協には多く、生協に入っているお母さん方も公害に対してはとても関心も持ってくれていました。だから、署名を求め、結果100万人中30万人ぐらいは生協のお母さん方だと思います。
Q:裁判がよく分からないのですが、みなさんは当時どうでしたか?
A:何度も会議を開き、個人の意見の集約や思いについて、納得をするまで学び、話し合いました。ですが、立証するのは弁護士であり、法律が変わっても病気は治りません。「当たり前」が壊されたこと。それがとても腹が立ちました。ですが、うらみがあるわけではないです。うらみがあると和解が出来ませんから。


患者会の会長でもある、森脇君雄さんからも裁判当時の裏話から環境省との今までの関わり方などいろいろな話をしてもらいました。森脇さんは環境省とも関わりが長く、いろいろな話が聞け、環境省職員の方にもとても面白く話を聞いてくれている印象がありました。実際どのような活動をしていたかといって話から、裁判当時の話が多かったです。また、なぜまちづくり進めたのかといった話も出ました。

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森脇さんからのお話もとても盛り上がっていました。

森脇さんは、「地域で生きるためには考えなければいけない。旧コミュニティとのあつれきもあり、また、新しい人が増えているからこそ、まちづくりのことを進めている。」とも話をしてくれました。


最後にグループに分かれて、一日目の振り返りを行いました。
グループごとで今日のキーワードを決め、全員でキーワードの共有をおこないました。
「現場の声、それを伝えていくことの大切さ」
「現場の声が法にかかってくる。また、あおぞら財団の運営状態について」
「仕事の本質が見えるきっかけになった」
「現場の生の声、高齢化と後輩の育成」
など、いろいろなキーワードが出てきました。

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皆さん、いろいろな話をして振り返りをしていました。



二日目は西淀川のフィールドワークが中心となった研修になりました。
二日目についてはコチラを見てみてくださいね。

(松ヶ平)
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「四日市公害」解説員、語り部養成講座を行いました(1/15)

1月15日(金)に四日市公害と環境未来館の解説員、語り部養成講座を行いました。

午前は、徒歩とバスを使ってのフィールドワーク(現地研修)、午後からは、あおぞら財団で、西淀川・公害と環境資料館(エコミューズ)の見学をしたあと、語り部の方のお話を聞き、受講したプログラムを振り返り、ワークショップを行いました。


右側後ろが43号線です。
右側後ろが43号線です。
空気を監視する装置はどこ?皆で探します。
空気を監視する装置はどこ?皆で探します。

43号線は交通量が多く、職員の林さんの話を聞く参加者の方達の後ろでは大型トラックが行き交い、騒音と排気ガスの中でのスタートになりました。

ここでは国土交通省が行う対策、出来島小学校の測定局、汚染軽減の為の白い光媒体塗装、沿道緑化、流入車規制についての話を聞きました。

その後バスに乗り、大阪市西淀川区と隣接する兵庫県尼崎の工場群やあおぞら苑、西淀川の0メートル地帯がわかる場所などを廻りました。


工場群を熱心に見られていました。
西淀川と尼崎の工場群を廻り比較しました。
遠くに煙が見えます。
遠くに煙が見えます。
環境レーンの大きな看板
環境レーンの大きな看板

バスの中では、43号線の交通量緩和の為に作られた湾岸線や、工場のすぐ側に住宅や学校が建つ、住工混在の街の風景を熱心に見られていました。




6階の資料庫の見学
6階の資料庫の見学
エコミューズの見学。パネルなど展示物の説明を受けています。
エコミューズの見学。パネルなど展示物の説明を受けています。

午後からはあおぞら財団の5階エコミューズと6階資料庫で、保存資料の説明と展示パネルを見学したあとに3階へ移動し、西淀川大気汚染公害について西淀川公害患者と家族の会の永野千代子さんと前田晴彦さんを迎え、お話を伺いました。

語り部の永野千代子さん
語り部の永野千代子さん
語り部の前田晴彦さん
語り部の前田晴彦さん

公害による病気の辛く苦しい事やそれに伴う痛みを、咳込みながら震える声で話される姿にその場に居る全員、一言も聞き逃さないように耳を傾けていました。

その後、林さんから大阪西淀川公害概要講義がありました。

全国の公害地域マップ 公害指定地域がある都道府県はどこ?
全国の公害地域マップ

 

公害指定地域がある都道府県はどこ?

質問が飛び交います。
質問が飛び交います。
皆さんメモを取りながら熱心に聞かれていました。
皆さんメモを取りながら熱心に聞かれていました。


最後のワークショップの目的は、解説員として来館者に対応するとき、どのような心がけが必要かを考えるものです。

まずはじめに、午前中のフィールドワークや語り部の方の話、資料館見学など今日のプログラムを振り返りました。その中でお一人おひとりが「もっとも興味を持ったこと、または印象に残ったこと」「理解しにくかったこと、あまり印象に残らなかったこと」を各自書き出し、共有しました。

たとえば、「印象に残ったこと」としては「大気汚染により公害患者になったいきさつがよくわかり、伝えていきたい」「病気のつらさ」「バス見学(時間があれば下車したかった)」「資料を残す必要性(大変)」といったことが挙げられました。

「理解しにくかったこと、あまり印象に残らなかったこと」という質問の部分は、むしろ「もっと知りたいと思ったこと」を書かれた方が多かったです。たとえば「未確認患者がまだ増えている中、集合住宅が増えている→今後の対応」「大気汚染対策」「地盤沈下」「工場と住居の近接」といったことです。

参加者それぞれ注目したところが違います。来館される方の興味も人それぞれでしょうから、伝え方を工夫する必要があることを確認しました。



最後に4~5人のグループにわかれ、解説する際に心がけたいこと、大事にしたいことは何か、を話し合い発表しました。

4~5人にわかれて話し合います。
4~5人にわかれて話し合います。
グループワーク発表です。たくさんの意見がでました。
グループワーク発表です。たくさんの意見がでました。



【四日市研修グループワーク発表】

■解説員として心がけたいこと、工夫したいこと

・全て語ろうとしないほうがいい。情報量が多いと受け止めるのが大変。

・場を察して近づいていく。展示を見ている人にむやみに働きかけると引かれるかも。

・現場に行くことがわかりやすい。展示コーナーでどうやって語るか。

・現場を我々は体験していない。そこを理解しないといけない。

・見に来る人には公害の関係者がいるかもしれないことを想定しておく。

・資料を大切に。

・現場を知っておくことで、語りに説得力が増す。

・よく勉強しないといけない。

・見に来る人の興味に合わせて説明する。双方向で。

・来館者に合わせた解説。自分の得意な来館者は子供達なので難しい言葉を使わない工夫をしている。公害を想像できるように、臭いお魚のことを想像するとか。大人で詳しく知りたい人達には、知識の豊富な解説員さんに対応をお願いしたい。役割分担。チームワーク

・いろいろな人がいるので、映像を見てもらってからのほうがわかりやすいのでは?



私は今回初めて研修の補佐をしましたが、語り部の方のお話を直接生で聞く事ができました。スタッフとして参加していましたが、あまりにも辛い内容なので途中で「もうやめましょう」と止めてしまいそうになってしまいました。今まで、授業や資料で知っていたはずの事でしたが、経験されてきた方の生の言葉に圧倒され衝撃を受けました。本来なら思い出したくない出来事も全て受け止め、前を向き「生きている限りはこの活動を続ける」と語ってくださった言葉に、これから自分には何ができるのか、自分で守れる生活環境をもっと意識したいと思いました。(佐々木)

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西淀川・公害と環境資料館(エコミューズ)が体験の機会の場に認定されました

「環境教育等による環境保全の取組の促進に関する法律(環境教育促進法)」(2011年6月に成立)には「体験の機会の場」の認定制度があります。

その制度を活用して、あおぞら財団付属西淀川・公害と環境資料館(エコミューズ)は体験の機会の場に登録することとなりました。

全国で11番目の認定となります。

基本的には自然体験の認定が主ですが、公害資料館がこのような認定をされたことに意義があると考えています。

この制度を活用して、大阪市および環境省との協働を進めていけるようにしたいと願っています。

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環境省リンク https://edu.env.go.jp/system/state_opportunity.html

大阪市リンク http://www.city.osaka.lg.jp/kankyo/page/0000335483.html




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資料館だより59号(2017年2月号)を発行しました。

資料館だより53号を発行しました。   エコミューズやあおぞら財団に配架しています。

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資料館だより59号表

資料館だより59号裏    

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