第54回 IATSSフォーラム研修 1日目(10/19)

IATSSフォーラムの研修で、ASEAN9ヶ国から18名の研修生を受け入れました。

1日目のプログラムの最初は「西淀川公害・地域再生の概要」であおぞら財団の林さんが講義を担当しました。
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あおぞら財団が設立された経過の紹介と現在取り組んでいる活動が報告されました。
住民と行政との関係性を大切にしながら、
1.環境の観点から自転車に着目した街づくりを推進しタンデム自転車の活動推進の事業
2.大気汚染公害の事実を伝える資料館の事業
3.学校教育との連携の事業
4.フィールドワークの積極的な推進で韓国や中国のNPOとの協力関係の紹介
5.患者さんの呼吸リハビリ促進の事業などに力を注いでいることが話されました。

次の講義は村松昭夫弁護士(あおぞら財団理事長)による「日本の公害訴訟―大気汚染公害訴訟を中心に」の講義で、
1.日本の公害・環境破壊の発生とその歴史
2.公害被害者が裁判を起こした理由
3.公害環境訴訟と賠償理論の前進
4.21世紀に向けた解決すべき公害・環境の課題等が話されました。

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講義の冒頭で、直近のNHKが放送したアンコールワットとミャンマーのバカン地域の発掘の活動を通じ、多様な文化や宗教の違いを乗り越えて発展させた東南アジアの歴史的な偉業は現代のEUの活動に匹敵する大きな活動であるとの感想が印象的でした。
今日の研修生の母国である方もいる放送の話だからです。

講義のあと「訴訟の最中に身の危険はありませんでしたか」や「裁判の後、大阪の経済はどのような変化がありましたか」などの質問がありましたが、「日本の法律と環境の中では身の危険はありません」「投資が他の地域に流れるようなことはありませんでした。むしろ、きちんと公害対策を行い、新しい技術を開発したところは日本の自動車産業が示しているように世界でも抜きん出た企業として発展しています」との回答がありました。

公害患者からのお話では、西淀川公害患者会の永野千代子さんから、
ご自身のお子さんが重度の喘息を発症し、西淀川公害裁判の一次原告となったことや、交通事故で死亡してしまったこと。永野さん自信も公害患者と認定され、原告を引き継いで闘いを続けた報告がされました。現在も週に5日も病院通いが欠かせない話もありました。
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昼食をはさんで、緑陰道路の観察歩行とタンデム自転車の緑道走行とがありました。
観察歩行では、「緑陰道路サロン」の天野さんから
1.緑陰道路がどのように活用されているか
2.四百年以上前、農民が自分達で資金と労働を提供して開削した歴史が紹介され
3.公害の酷い時代に空港までの高速道路の計画を住民が立ち上がって変更させ緑道にしていった経過や
4.緑道の下には大放水路が完成し集中豪雨にも対応できる現状が紹介されました。
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タンデム自転車は、あおぞら財団の鎗山さんが先導し福漁港の近くまで走行を経験しました。

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参加者は晴天の下で自転車を大いに楽しみ、公害発生源の合同製鉄所の話や、淀川の水面よりかなり下になっている住宅を見ることができ、防災の重要さの説明を受けました。

財団へ帰ってから三つのグループに別れ、今日のまとめを行いました。今日の経験を踏まえ、参加者の各国での公害や環境問題の現状と市民の関わり方が発表されました。
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Aグループ
・環境の問題はきちんとしたプランと市民との合意が重要
・人々の意識を高めることが大切で、署名運動などは大切であり、市民が自ら立ち上がっての裁判は重要
・予算も支援も大切である
自国の問題として
・廃棄物の処理や天然資源の減少に直面している
・シンガポールではマレーシアなど外国からの大気汚染がある
・環境に対する法律や基準が必要である
・ベトナムでは「環境警察」のシステムがある
・教育カリキュラムが重要、職場でも環境問題の共有を図っていきたい

Bグループ
・環境とコミュニティと社会のバランスが大切
・子ども達の将来を考えるとき環境問題はとても重要
・市民は政府の対策を待つのではなく、時には自ら立ち上がることも重要だ
自国の問題として
・自国には土壌汚染としてカドミウムの汚染問題がある
・ミャンマーやタイでは騒音の公害がある
・不法な森林伐採がある
・モリタリング評価を第三者機関でやりたい

Cグループ
・今日は協力、弾力性、都市の開発と青空、環境の活動とESDの大切さを学んだ
自国の問題として
・騒音、廃棄物の汚染、紫外線の照射、大気の汚染などがある
・人間の健康だけでなく、農産物に関しても影響が出ている
・人々の意識を変え、規則を作る
・自然災害に対する対策が急がれる

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最後にあおぞら財団の藤江事務局長は「今日参加の皆さんが、各国の大統領になれば公害は無くなると思う。西淀川はいろんな人々との共同に苦労しました。この地域は公害のデパートだったが、被害者の声を大切にして困難と向き合い、これが財団の活動の原点だった。この3日間の経験で深めてください。」とまとめられました。

3日間の予定です。そこからリンクで他の日も見に行けますので、ぜひ見てみてくださいね。
・1日目 裁判のお話や患者さんのお話を聞き、タンデム自転車で散策。
・2日目 43号線で説明を受け、あおぞら苑や大阪ガスへ。
・3日目 グループワークを行い、意見交換や提案作りをした上で発表へ。

(天野)

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