西淀川 フィールドワーク・プログラム「大阪の大気汚染から学ぶ」が完成しました。

西淀川フィールドワーク・プログラム「大阪の大気汚染から学ぶ」が完成しました。     

aozora-fix2※PDFはこちらからご覧になれます。

エコミューズでは、西淀川公害の講義と公害患者の語り部のお話、西淀川のフィールドワークなどを組み合わせた研修を実施しています。こちらのパンフレットでは研修のプログラムの流れ、西淀川フィールドワーク例、基本コース、研修テーマ例、プログラム料金、参加された方の声 等、詳しく紹介されています。無料配布となっていますので、ご希望の方は事務局までお知らせください。

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資料館だよりNo.62(2017年11月号)が発行されました。

資料館だよりNo.62(2017年11月号)が発行されました。

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資料館だよりNo.62   

 

発行:西淀川・公害と環境資料館(エコミュー ズ) 資料館の活動をより広く知らせるために、「資料館だより」を2005年7月に創刊しました。A4版1枚のお便りで、3ヶ月 に1回発行しています。 資料館に まつわるニュースや所蔵資料の紹介、他の機関への訪問記、お知らせなどです。ご希望の方は事務局までご一報ください。

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資料館だよりNo.61(2017年8月号)が発行されました。

資料館だよりNo.61(2017年8月号)が発行されました。

 エコミューズやあおぞら財団に配架しています。

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・資料館だよりNo.61  

・資料館だよりNo.61

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エコミューズのHPが一部新しくなりました。

先日西淀川フィールドワークマップを新しく刷新したのは、こちらのブログでご紹介しました。

 

ブログでも書かれていますが、10年以上使用してきたウォーキングマップから、フィールドワーク用のマップになりました。

それにともない、新しく西淀川・公害と環境資料館エコミューズのホームページも一部変更となりました。

変更があったのは、研修受入のページです。

フィールドワークで大切にしている三つのことや、詳しくなったフィールドワークのコース説明、また新しく販売を始めた地図を利用したフィールドワークのガイド代などが新しくなりました。

フィールドワークのコースについては例えになっていますので、ご希望があれば、それに添えるようにコースを組みます。

 

お気軽にご相談ください。 研修希望や講師依頼を少しでも考えている場合は、メールやファックス、お電話でお問い合わせください。

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新しくなったエコミューズの研修受入のページは→こちらから。   (松ヶ平)

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新しい西淀川のフィールドワークマップが完成しました。

エコミューズでは、年間400人ほどの研修受け入れを行っています。
その時に活躍するのが「地図」です。
特にフィールドワークでは、地図は必需品で、西淀川のどこを歩いているかを知るためになくてはならないものです。

これまで使用してきた地図は、2004年に日本市民スポーツ連盟・大阪府歩け歩け協会・あおぞら財団が協力して作成したウォーキングマップで、「西淀川区の史跡探訪」と「公害の歴史と環境再生の足跡を訪ねて」の二種類がありました。
当時は、エコミューズもオープンしておらず、研修事業も表立って実施していませんでした。
ついつい、ウォーキングマップを研修用のマップとして代用してしまい、そのまま10年もたってしまったのです。
10年もたち、書かれていない情報も増えてきました。
訪問頻度が高いデイサービスセンターのあおぞら苑(西淀川公害裁判の和解金でつくられた施設)もマップに書かれていないことから、思い切ってフィールドワークマップを刷新することになりました。

今度の地図は、西淀川公害の歴史と地理的な位置が分かるようにしていること、西淀川のフィールドワークから学んでほしいポイントを明らかにしました。
また、尼崎方面をめぐるバスによるフィールドワークに対応できるように地図範囲を広くした点も改善点です。

青空がきれいな表紙が目印です!
青空がきれいな表紙が目印です!
こちらが表になります。
こちらが表になります。

1部500円になりますので、ぜひお手に取ってください。

また、研修をご希望の方はこちらから、お問い合わせください。

(林)

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資料館だより60号を発行しました。(2017年5月号)

資料館だより60号を発行しました。   エコミューズやあおぞら財団に配架しています。

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資料館だよりNO.60表

資料館だよりNO.60裏

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資料館だより59号を発行しました。(2017年2月号)

資料館だより59号を発行しました。   エコミューズやあおぞら財団に配架しています。

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資料館だより59号表

資料館だより59号裏    

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北京大学現代日本研究センター博士の研修受入を実施しました(5/19)

5月19日に国際交流基金から北京大学現代日本研究センター博士第11期生の研修受け入れを行いました。
受入を行った学生は大学でもさまざまな分野の専攻をしている学生の方々でした。
研修は、いつもと違ってあおぞら薬局の2階会議室をお借りして行われました。

今回の研修では博士課程の学生が17名、随行幹部の方が4名、国際交流基金の随行の方が4名で合計25名の大人数の研修となりました。
あおぞら薬局の会議室は満員の状態で研修が始まりました。

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あおぞら薬局の会議室での研修です。

 

まずあおぞら財団の林さんから、「日本の大気汚染公害の歴史、西淀川公害と地域再生について」お話がありました。
西淀川公害の説明を行っている時に、スクリーンに映った昔の煙のひどい大阪の上空の写真には学生の皆さんは食い入るように画面を見つめていました。その画像を流しながら、林さんが「今の中国と同じようでしょう?」と言うと、学生の方からは納得したような表情を浮かべている方がいました。また、現在の中国とよく似ている状況の画像に写真を撮っている方も目立ちました。

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林さんによる西淀川についての説明です。

 

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昔の大阪の工場の写真に参加者はかじりつくように見ています。

 

 

続いて、現在西淀病院 副院長でもあり、西淀川公害裁判での医師でもある穐久英明さんから「公害発生した時に医療関係者が果たした役割」についてお話をしてもらいました。

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西淀病院副院長の穐久英明さん(画像真中)

大気汚染からなる病気についての説明や、ばい煙・ばいじんといった大気汚染物質についての説明も行われました。また、工場だけではなく車からの排気ガスも病気の原因となったことをどのように突き止めたかといった、専門的な話となりました。
医師団が喘息患者のサマーキャンプを行っていたり、集会でも医療班として参加してきたといった当時の話も聞けました。また、裁判の際には有名な呼吸器の医師が国側の証人となり、「ニセ患者だ!」と言われていた話など医療関係者だからこそのお話もありました。

質疑応答になると参加者からは多くの質問が飛びかいました。
・国や企業相手に裁判を行い、報復などはなかったのか?
→特に報復などはなかった。有名な医師相手に弁論を行ったが、医師会の中でも特にはなかった。
・患者さんへ行われているサポートは無償で行われているのか?
→病院で行われている診察は有料だが、医療班として集会についていったりする時は自分たちで負担をしていた。
・裁判の際、相手の証人は有名な呼吸器の医師だったが、何故勝てたのか?
→どのようにして裁判官に分かってもらうか。また、世論を自分たちの方へと流れが引き寄せられるか。だが、それ以上にやはり患者さんを自分たちが診ていたからこそ証明が出来、勝てたのではないかと思う。

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大気汚染物質についての説明が行われています。

 

公害患者の語り部さんには西淀川公害患者と家族の会会長の森脇君雄さんに来ていただきました。

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西淀川公害患者と家族の会会長の森脇君雄さん。

森脇さんはぜん息の苦しさを水の張ったバケツに無理矢理顔を突っ込んだ状態と表現した上で、当時の様子を話してくれました。また、森脇さんからの言葉で「患者の救済と公害をなくすこと、転地療養が仕事だった。」との言葉がとても印象的でした。また、全国の公害患者が集まって官庁交渉を行う全国公害被害者総行動 についての話もしてもらいました。お金のない中、重症な患者さんが前面で闘い続けている姿を見ていたからこそ長く続いた裁判を闘えたのだと森脇さんが言っていました。被害にあった人が声を上げないと裁判にはならないという言葉を参加者は真剣な表情で聞き入っていました。

森脇さんとの質疑応答はとても多く、その中の一部はこういって質問が出ました。

・中国では1992年に環境に関する法律が出来たが、日本は被害者に立証責任があるが、中国では加害者側である企業に立証責任がある。そのため、被害者が訴えたり、代理の方が訴えたりする。西淀川の場合も代理の方が良かったのではないだろうか?
→私は代理人が訴えるべきだとは思わない。弁護士は忙しいし、自分が納得できるようにするべきだと思ったので代理人を立てようとは思わなかった。また、企業側に立証責任がある場合、企業側の立証が真面目に行われているとは信じられない。だが、環境健が進んでいるのはすごいと思う。訴えられない人(物)の代わりに訴えられるというのは良いことだと思う。
・今のあおぞら財団での和解金の運用はどうなっているのか?
→助成金や国との委託事業などで運営を行っている。その中で、足りない部分がある場合は和解金の一部を利用している。

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当時の話を参加者の方々に話をしています。
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参加者からは森脇さんへいろいろな質問がありました。

 

質疑応答が終わると、バスで尼崎や西淀川の工場や町の中の様子を見学しました。
今回は時間の関係でバスの中からの見学となってしまいましたが、淀川の河川敷では一度降りました。そこで昔の淀川や大阪の写真と、今の様子を見比べてみたりしました。また、淀川の写真を撮っている姿も目立ちました。

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淀川河川敷に参加者みんなで降りています。
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林さん(真ん中)が持っているのは昔の風景写真です。見比べたくなりますね。

 

その後、あおぞら財団に戻ると最後の質疑応答の時間を取りました。
・何故1988年から公害患者の認定が出来なくなったのか?
→1988年から新規で公害患者の認定は受け付けられなくなったが、訴訟は出来る。公害患者の認定が受け付けられなくなった理由には、経団連からの圧力などがあった。
・1988年からは公害患者の認定はされたのか?
→公害患者の認定がされていないので、未認定についての裁判が行われている。
・今現在、あおぞら財団で環境問題を取り扱っているが専門的にやっている方はいるのか?
→専門でやっている職員がいる。職員の専門自体は多種多様だが、それぞれが関わっている人や、他のNPOや団体と活動を行っている。
・裁判の過程で、何が一番難しかったのか?
→煙がどのように西淀川に到達するのか証明をするのが難しかった。西淀川にある企業だけではなく、大阪府内の工場企業を相手にしていたために風向きや気候の変動について証明するのがとても大変だった。
・現在の課題について、何かあるか?
→地域の再生というとてもむずかしい課題をあおぞら財団に任せてしまったことは悪かったなと思っている。また、公害患者は新たに認定をされておらず、今認定されている公害患者が高齢化して減っていることで運動を続けていくのが大変難しくなっている。

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あおぞら財団に戻って再度、質疑応答の時間になっています。
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質問は途切れず、時間いっぱいおこなわれました。

 

最後に、あおぞら財団の事務局長の藤江徹さんからは、「3月に北京に行った時に昔の西淀川のようだと思った。空はつながっているので一緒に大気をきれいにしていくために頑張って行きたい。」と参加者の皆さんに話をされていました。

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あおぞら財団の事務局長、藤江徹さんから参加者のみなさんへの一言です。

今回の参加者の皆さんはとても真剣な様子で質疑応答も時間いっぱいまで行われ、質問したりない人が最後に森脇さんに個別で質問をしていたりと、とても有意義な時間だったと思います。聞いたことや感じたことが少しでも中国に帰って共有をしてくれたらいいなと思いました。
また、中国の大気汚染も空はつながっていて、決して中国だけの問題ではなく私たちも何か考えていけたらいいなと思いました。

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淀川河川敷で、参加者のみなさん、森脇さん、あおぞら財団のスタッフで一枚。良い天気でした。

 

(松ヶ平)

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淀協の新人研修受入を実施しました(4/5)

4月5日(火)に淀川勤労者厚生協会の新人研修を行いました。
淀川勤労厚生協会とは西淀病院やのざと診療所、千北診療所やあおぞら薬局など西淀川の医療機関であり、今年度から各医療機関で働く方々の研修です。
今年は20名の方と、2時間半でしたが西淀川と西淀川公害についての研修が行われました。

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のざと診療所の会議室にて。

のざと診療所でみなさんを前に、あおぞら財団の林さんがまず西淀川についての説明がありました。西淀川出身ではない方も多く、西淀川の場所の説明やどんな地域かと言った話でした。クジラの形に見えるという話には、みなさん配布資料の地図を見ながらとても納得をしている様子が見られました。
また西淀川公害や大気汚染公害裁判の話から、西淀川にはぜん息などの公害患者さんがまだまだ多いと話がされました。研修を受けているみなさんは今後いろいろな所に配属をされるため、熱心な様子で話を聞き入っていました。

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林さんが西淀川のイメージについて聞いています。

軽く西淀川と西淀川公害、またあおぞら財団の説明が行われたのち西淀川公害患者と家族の会会長の森脇君雄さんからお話がありました。
森脇さんからは自身の公害被害の苦しさの話だけではなく、どのように淀協と一緒になって公害患者さんを認定したり、法律を作っていったかなどの話をしてもらいました。当時の話も多かったですが、西淀川公害や公害裁判の難しさなどの話を沢山してもらいました。参加者の皆さんは真剣な表情を浮かべて森脇さんの話を聞いていました。
質疑応答の時には、元々薬剤師をしていた方から質問がありました。
Q:以前尼崎で薬剤師として働いていた時によく公害患者さんが居た。本当にとても症状が重い方が多かった。新しい治療法ができ、それを進めるもなかなか利用をしてくれなかった。治療法を変えようとしていなかったのはなぜだと思うか。
A:薬の量を増やしたくない、減らしたいという気持ちはやはりある。また、違う治療を行っていたりすると他の薬も飲む必要があり、変えたいと思っても変えたいとなかなか言えない部分がある。

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西淀川公害患者と家族の会会長、森脇君雄さん。
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森脇さんの熱弁にみなさん聞き入っています。

その後は、軽くフィールドワークで外へと行きました。
大野川緑陰道路へと行くと、大野川の昔の写真を取り出し、参加者のみなさんに見せると「家の中のものが全部出ているみたい」「家具まで流れている」と言った驚いた様子を浮かべていました。また、大野川緑陰道路自体も初めて来た方も多く、自転車専用レーンや歩行者専用の部分を眺めている姿も目立ちました。あおぞら財団の林さんが当時の写真を持って説明をしていると散歩中の方も近寄ってきて興味深そうに眺めている姿もありました。

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大野川緑陰道路にて昔の写真と見比べています。
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フィールドワークも和やかな雰囲気で進みました。

大野川緑陰道路から歌島橋交差点へと行くと、PM2.5の環境基準が平均より上か下かとクイズを行いました。流石に5差路を目の前にすると基準値よりも高いという判断でした。ですが、「基準値より高い理由は中国から飛んできたから高いわけじゃない。国内からも多く排出している。」と説明があるととても驚いているようでした。どうしても中国から飛んできているものばかりだと思いがちのようです。

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歌島橋交差点の五差路にて、空気を監視する装置を探し中。

のざと診療所に戻るとグループでの感想共有を行いました。
今日の研修で感じたこと、今日の研修のことを今後にどう生かすかと言ったことをA4用紙に書くと、班の中で共有をしました。

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A4の紙にしっかりと感想を書いている参加者の皆さん。
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グループ内での共有を行います。

最後に班ごとに代表の方が発表を行い、全員で今日の感想の共有をしました。
<感じたこと>
・西淀川公害がどんなものだったのか初めて知った。
・西淀川と言う地域が一体どういった地域なのか知った。
・西淀川と言う地域は、昔公害にあった患者の方々を含めた多くの方の努力があったのだと知った。
<今後の仕事にどう生かすか>
・公害患者さんと会う時には、公害を受けた背景を考えたり、知っていく必要性がある。
・公害患者さんと接する時にはアドバイスをしたり、患者さんのことをしっかりと知っていきたい。
・患者さんと寄り添っていきたい。

今年も天気が良い中、桜を見ながらのフィールドワークや研修となりました。
全く西淀川について詳しくない人や、西淀川出身の人もいましたが少しでも西淀川のことを知っていただけて良かったと思います。研修で感じたことや考えたことを胸に、今後西淀川で頑張ってくださることを期待しています。

(松ヶ平)

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「西淀川公害から学ぶってなにを?」を開催しました。2日目(3/28)

1日目の様子はこちら
2日目は山岸公夫さん(元神戸製鉄所 法務部長 あおぞら財団理事)からのお話がありました。

当時の様子を語られる山岸さん。
当時の様子を語られる山岸さん。

山岸さんは企業の法務組織の変遷(成長)と法務組織の役割などの説明からお話を始め、大気汚染への寄与企業が足並みを揃えることの難しさや、攻める側の大変さと守る側の心外さ、それぞれの立場があったことを説明してくださいました。
山岸さんは西淀川裁判の和解成功の鍵は被害者を組織化したこと、単なる賠償金獲得でなく地域再生のために「青空を取り戻し次代に渡す」というスローガンを掲げたことだったと説明されました。またあおぞら財団の使命は「和解の精神を風化させないこと」だとも仰っていました。

みなさん真剣に聞いています。
みなさん真剣に聞いています。

【山岸さんに対する質問】
Q:訴訟担当者で身内に公害患者のいた人はいたのか?そういう人は意図的に外されたのか?
A:訴訟担当者を選ぶ立場ではなかったがそういった話は聞いたことがなかった。

この後、福島大学の皆さんからの報告、質疑応答が行われました。皆さんには、震災で経験したことと、2日間の研修で感じたことを話していただきました。この時西淀川公害患者と家族の会の森脇君雄さんも来られました。

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森脇さんに来ていただきました。

同じ福島県といっても福島は広く、学生の皆さんは住んでいた場所もそれぞれ違うため、避難された地域の方、被災者を受け入れた地域の方の立場で、様々な視点から震災の経験等を語ってくださいました。

【震災体験について】
・震災当初の情報の錯綜について。
・食糧不足に悩まされた。買い出しにも時間がかかる状態だった。
・放射能の影響を考慮し、体育の授業は室内で行われ、プールの授業もなかった。
・除染率100%の広報が回ってきたが、この100%とは除染申請をした家のみ除染が終わったということだった。
・他の地区の学生を受け入れ、同じ学校で授業を受けるようになった。部活を通して、他地区の学生とかけがえのない仲間になれた。避難者と避難者を受け入れた側の地域間対立がしばしば取り上げられるが、仲良くやっていけた人もたくさんいる。
・今現在はライフラインの復活により生活は戻ったが、放射能の影響が怖い、これからも影響が残るのではないかとの不安を感じる。

【2日間の研修をふまえて】
・福島では裁判を起こすという考えの人は少ないように思える。避難している人も多いのでバラバラになってしまっている。しかし組織として活動する必要がある。
・岡崎さんと自分のふるさとへの思いの違いを感じた。個人的には復興は進んでいると考えていたし、自分達の生活を立て直すことに精一杯だった。岡崎さんは怒りのモチベーションを保ってこられたのがすごいと思うし考えさせられた。しかし組織化して問題を解決しようとする運動が少ない。一方怒っても何もならないから前向きになることが大切、という意見も。
・西淀川の公害問題は関心を持ち続けることで対策がとられた。福島も関心を持ち続けることで何らかの対策がとれるのではないか。
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皆さんがそれぞれの体験や学んだことを語る真摯な姿に心をうたれました。

最後に「福島第一原発事故の教訓を伝える施設の整備に関する取り組みの事例」について後藤忍先生が話をされました。福島第一原発事故に関連し、公立・民間含めその教訓を伝える施設が作られているそうですが、国・市が盛り込めていない部分の教訓というものをいかにして伝えていくかということをこれからの課題として説明されました。

教訓を伝えることの課題について説明される先生。
教訓を伝えることの課題について説明される先生。

【福島大学の方への質疑応答】
Q:浜通り・中通り・会津で団結して一緒に組織を作ることはできないのか。
A:3つの国は別々でまとまれない。汚染度や状況、賠償額に違いがあり団結は困難。

Q:総合対策としてこれからどのようなまちづくりをするのか?そのビジョンは?
A:今のところはそれを描くのは困難。見えない対立もある。

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アドバイスされる森脇さん。

この時、森脇さんは西淀川を例に挙げながら、確実な補償法整備の重要性と問題の認識、勉強、行動を起こすこと、人と仲良くなることが大事であるとアドバイスをされました。

2日目の最後にはワークショップを行いました。最初は質疑応答です。

【ワークショップでの質疑応答】
Q:現在の淀川と西淀川の関わりはどのくらいあるのか?
A:公害による淀川のイメージが良くない。堤防も高く日常で水辺に関わる場面は少ない。
漁協もそのことでイメージ転換を図りたいとのことだった。
Q:あおぞら財団ができた時の周囲の反応は?
A:地域の中では公害のことは言わないでほしいという意見もあった。しかし今は、財団があってくれてよかったとの意見をもらうことも増えてきた。色々な立場の人々を繋いできた結果と思う。

Q:①震災の直接の体験者でない我々にどうしてほしいか、どうなってほしいか?②また、震災から5年で人々の記憶の変化は?
A:①福島に実際に来て欲しい。そして今の生活を知ってほしい。福島では毎日原発関連のニュースが流れるが、他ではそうではない。情報量が被災地とその他の地域では違う。
②震災の記憶については、忘れることはない。しかし話をする機会というのは少なくなっている。例えば放射能の影響の可能性を考慮し、プールで授業ができない等、子供達の行事の制限があった。小学校当時に被災した人たちの中には泳げない子もいる。しかしなぜ泳げないか、という事は忘れられていくだろう。

【ワークショップ発表】ポストイットに2日間を通しての疑問や議論したいテーマを書き、質疑応答後、3つのテーマでグループ分けを行い、議論を行いました。

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熱心に議論されています。

 

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1つ目のグループのテーマの写真

〈グループ発表〉
・西淀川と福島のちがいの根本にあるものは、再生と復興の違いだと感じた。復興が具体的に何を目指したらよいかわからない。
・西淀川は高度経済成長期の日本の発展のため、福島は原発=クリーンのイメージ、町おこしになると考えられており、結果的に公害や被害につながることになった。
・リスクマネジメントが大事。疑問を持ったら徹底的に追求すること。西淀川はこれを行ったため良くなったと感じる。福島では関心を持つこと、疑うことが現在十分でないと感じる。
・上記の問題を解決していくための具体的方法として、体験型学習が大事だと感じた。

1つ目のグループの発表の様子。
1つ目のグループの発表の様子。
2つ目のグループのテーマの写真
2つ目のグループのテーマの写真

〈グループ発表〉
・公立の資料館でも展示すべき情報が展示されていないなどの課題がある。
・福島では、放射能に関して理科の授業で取り入れられているが、授業以外でも伝える方法を考えなければならない。
・教訓をどう生かしていくか。加害者、被害者の認識の違い。これにより語られることも違ってくる。また被害者の中には忘れたい人もいる。教訓を語り継いでいくために被害者の組織化が必要。その方法を考えることが課題だと思う。

2つ目のグループの発表の様子。
2つ目のグループの発表の様子。
3つ目のグループのテーマの写真
3つ目のグループのテーマの写真

〈グループ発表〉
当事者の中でも生活面や精神面で様々な事情を抱え、問題に向き合えない人達がいる。心の「シャッターを閉めるように」。“自分には何もできない”と思う気持ちもあるのではないだろうか。こういった人達には森脇さんのような人の話を聞いてもらうことで自分にも何か出来ることが分かり、変わるきっかけになるのではないか。

3つ目のグループの発表の様子。
3つ目のグループの発表の様子。

【参加者からの感想】
最後にアンケートの『あなたにとって「公害から学ぶ」とは、どういうことでしょう?』という項目に関して皆さんの考えをいくつかピックアップします。

・目の前にいる人が抱える問題や、目の前にある問題にどう向きあうかを考える時に文脈や時代の違いを踏まえつつ、自分がどう考え、行動したらよいか何ができるかを考えること。学習のための学習ではなくて、リアルな自分の生き方を考えるということ。
・自分ができることを考え、『実行すること』だと思います。公害が起きた地域の当事者なら何も考えていないことはないと思います。しかし、そのために何かをしようとしている人は少ないと思います。「知る・考える・実行する」の3点があってこそ「公害から学ぶ」の価値があると考えます。
・二度と被害者を出さないための真摯な自省(自分事としての反省)。
・「公害から学ぶ」ならば、公害のあった地域の今までのこと、その地域で暮らした(ている)人のくらしや生き方から学ぶことのように思います。
公害から何を学ぶのか、ならば技術や対策ということから運動論、法律、病状、教育、人権、等々、生き方の問題含め、何の為に学び、どう生かしたいのかでちがいように思います。その時々で、教材としての公害はちがう顔をもつのだと思いますが、語り部の方やここにある地域の現実の持つ力学習者の生き方を問われるものだと思います。

私は3月からスタッフになったため、初めて研修のお手伝いをしました。その後、2日間の取り組みが終了となりました。語り部の方のお話や被告企業側であった方のお話を直接聞く貴重な機会をいただきました。環境問題に対する知識はまだまだ浅い自分ですが、経験されてきた方のお話や、前向きな姿勢に多くのことを学ぶことができました。特に印象的だったのは西淀川裁判における患者会の団結のすごさと粘り強さです。多くの企業を相手に皆で学習し、協力しあい、裁判が終わった後も地域や次世代のためにより良い環境づくりをしていこうという未来を見据えた姿に感動しました。
また福島大学から来られた学生の方々が、ご自身の震災の経験を語って下さり、TVなどで知る情報とは違う生の声に、震災や公害の問題は終着点を見つけることが非常に難しく、未来へと繋がっていく問題であることを実感しました。再発を防止するため、過去から何を学び、教訓を未来へ語り継いでいくにはどうしたらよいのかと改めて考えるきっかけを与えていただきました。
これから自分に何ができるかを勉強しながら考えていきたいと思います。(村山)

一日目の様子はこちら

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