もりもとまきのアーキビストの目 No.17

学び舎を覆う空気の汚れ-教育現場の健康被害-
(資料館だより34号、2011/01)
紹介資料:『西淀川全保育所のアンケート回答まとめ』(1970~71年)、大阪市立福小学校『公害白書』(1970年)

子どもたちが元気に駆け回るはずの学び舎にも、大気汚染による健康被害が広がっていたことを伝えるエコミューズ所蔵資料を紹介します。

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子どもも大人も、公害のただなかに

子どもも大人も、公害のただなかに

『西淀川全保育所のアンケート回答まとめ』(’70~’71年、谷智恵子弁護士資料No.38、写真上)は、区内全保育所児童の健康状態に関する調査結果です。「3ヶ月もつづかないが、よくせきがでますか」との質問には約45%が症状を訴えており、全児童の約1割にあたる60名が公害病の認定を受けています。また、福小学校が独自に作成した同校の『公害白書』(’70年、同No.96、同下)によると、6年生の約20~30%に喉の痛み、頭痛、咳、痰の症状があり、教員のほぼ全員が、咳、鼻づまり、喉の痛みなどを訴えています。教員からは、窓を開けられないので冷房を設置してほしい、喉が痛く声が出にくいので学級児童数を30人以下に減らしてほしいといった要望が出ています。公害の真っ只中にある教育現場の実情を、ありありと伝える資料です。

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(エコミューズ資料整理スタッフ 森本)

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