速報!公害資料館連携フォーラムin四日市を12月11日~13日に開催

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第3回の公害資料館連携フォーラムを四日市で開催することが決定しました。

申し込みは9月からになりますが、ぜひスケジュール帳に日程を書き込んでいただきたく存じます。
日程:2015年12月11日~13日
会場:四日市公害と環境未来館 〒510-0075 四日市市安島1丁目3番16号
   じばさん三重(公益財団法人三重県北勢地域地場産業振興センター)
〒510-0075三重県四日市市安島1丁目3番18号     
主催:公害資料館ネットワーク(代表:高田研 都留文科大学教授)
共催:環境省、四日市市(予定)
後援:三重県(予定)、三重県教育委員会(予定)、四日市市教育委員会(予定)、日本教育学会(予定)
事務局:公益財団法人公害地域再生センター(あおぞら財団)
環境省「平成27年度地域活性化に向けた協働取組の加速化事業」全国事業

<フォーラム概要>
日程  12月11日(金)フィールドワーク
            四日市公害と環境未来館、磯津、ナイトクルーズ など
    12月12日(土)午前:公害資料館ネットワーク会議
            午後:フォーラム 基調講演、分科会
    12月13日(日)午前:分科会
            午後:全体会

<フォーラム参加対象者>
各地の公害資料館関係者、教育関係者、環境NPO・NGO、公害被害者団体、研究者 など
およそ200人程度

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8/7-23 徳島にてパネル展が開催されます

8/7~23まで、あいぽーと徳島(徳島県立人権教育啓発推進センター)にて、
特別展「環境汚染がもたらす健康被害、人権侵害 ~人権の視点からの地域再生~」が開催されます。

あおぞら財団作成のパネル「公害 みんなで力をあわせて」を中心に、
大気汚染問題Q&A、公害患者さんの証言、公害資料館ネットワークの取り組みなどの解説パネルを追加しています。

また展示期間中の8/20(木)には、あおぞら財団の林が西淀川公害裁判について講演します。

お近くの方はぜひお立ち寄りください!

詳しくはこちら

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エコミューズが大阪府立中央図書館の類縁機関として登録されました。

エコミューズ(あおぞら財団付属 西淀川・公害と環境資料館)のことが、大阪府立中央図書館のホームページで紹介をされました。

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大阪府立中央図書館では類縁機関の紹介をしています。
類縁機関と言うのは図書館ではありませんが、図書や雑誌だけではなく、ビデオやDVDなどを所蔵しているところを言います。
その中でも、それらの資料を一般公開、もしくは紹介状などによって公開している機関です。
大阪府立中央図書館の類縁機関は現在161か所が登録をされています。

その中の「大阪近辺類縁機関」として、新しくあおぞら財団のエコミューズが登録をされました。
実際に登録されているページがこちらになります。
ホームページには開館日時やアクセス以外にも、公開状況や連絡先などが記載されています。

この機会に、ぜひエコミューズに足を運んでみませんか。

エコミューズ(西淀川・公害と環境資料館)
【HP】
http://www.aozora.jpn.org/ecomuse/

【開館日時】
月曜日・金曜日 10:00~17:00

【休館日時】
火曜日~木曜日・土曜日・日曜日・祝日

※月・金曜日以外の閲覧希望は要相談
※裁判記録・書庫資料は閲覧のみ

(松ヶ平)

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8/8 西淀川公害の伝える参加型教材の実践をします

あおぞら財団では今年度、地球環境基金の助成を受け、西淀川の大気汚染公害を題材にした参加型学習の教材(アクティビティ)づくりに取り組んでいます。

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教材づくりの研究会の様子(5/10)

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どんな教材がつくれるか意見交換

2005年に国連が提唱した「持続可能な開発のための教育(ESD)」では、現代社会の諸課題の解決につながる新たな価値観や行動を生み出し、持続可能な社会を創造していくことのできる教育をめざし、
単に知識の伝達にとどまらず、体験、体感を重視して、探求や実践をする参加型アプローチをとることが推奨されています。

そこであおぞら財団では、すでに様々な手法が取り入れられている環境教育や開発教育、人権教育、市民性教育といった分野で活躍されている方々の協力を得ながら、
それらの分野でつくられた既存の教材を応用して、西淀川公害についての参加型教材を試作しました。

その教材をよりよいものにしていくために、来る8/8、北海道大学を会場に開催される「第33回開発教育全国研究集会」の自主ラウンドテーブルで教材実践をすることになりました。
参加型の蓄積の厚い開発教育の分野で活動されている参加者のみなさんとともに、試作教材の検討を行います。

ご関心のある方はぜひご参加ください!!(栗本)

■□■ 第33回開発教育全国研究集会in北海道 ■□■
「市民性」を育む開発教育 ―尊重と共生の社会へ―

日時 8月8日(土)~9日(日)
会場 北海道大学
主催 第33回開発教育全国研究集会実行委員会・NPO法人開発教育協会

【自主ラウンドテーブル】
8月8日(土)16:50~18:00
2-E 大気汚染公害のESD教材化プロジェクト
http://www.dear.or.jp/zenken2015/kikaku.html

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第53回IATSSフォーラム2日目(6/19)

研修の2日目は、9時に南森町のホテルをバスで出発しました。(フォーラム1日目のブログはこちらになります。)

大阪府農林水産環境事務所 環境情報プラザ

大阪府のこの施設は環境情報の提供、環境学習の機会や場の提供等を通じて府民、事業者、環境NPO、行政など各主体の自主的な環境保全・環境活動をサポートする拠点施設として運営されています。
郊外における行政の役割を学習するために訪問しました。

まず、「大阪府域の大気汚染」に現状について担当者からの説明を受け、健康への影響が大きい二酸化窒素・浮遊粒子状物質(SPM)・二酸化硫黄の常時観測の説明を聞きました。その後、屋上の大気汚染測定機の場所へ移動し、観測機器の説明がありました。

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次に、アスベストの環境調査グループの部署に行き、アスベストの使用状況と被害の説明を受けました。「アスベストとは以前は安価な保温・断熱材として建材に使われていました。その繊維が極めて細いため呼吸で吸い込むと、肺の機能障害が発生するため現在は使用が禁止されています」と説明を受けました。

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続いて、ダイオキシン観測室前で説明を受けました。ダイオキシンはいっぺんに多量に摂取すると、サリンの2倍の毒性があると言われている種類もあります。肝臓や腎臓へガンを発生させるとも言われている物質でもあり、観測室は十分に管理されエアー・ロック室で観測されています。

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その後、全体での質疑の時間では

Q:どこか他の場所との測定数値の交流はありますか。

A:全国の自治体との情報共有し、府の行政との提携があります。

Q:ここ30年間で大阪府の大気汚染対策の効果はどうですか。

A:明らかに大気の汚染度は減少しています。

Q「基準数値」の設定は「府」ですか「国」ですか。

A:国が基準値を設定していますが、府はそれに上乗せした基準値を持っています。

Q:事業所への指導はどのようなものですか。

A:必要な場合は事業所への立入り調査を行っており、指導の中で改善させています。

などの質疑・応答がありました。

この環境情報プラザでの研修では、大気汚染の歴史的変遷やアスベスト飛散についての説明を聞き、それを監視する測定の現場を見学することができ、担当者の話を直接聞くことができました。アスベスト検体の顕微鏡提示や、ダイオキシン観測の説明もあり、参加者の注目を集めました。ただ、説明がやや専門的な部分もあり、難しく感じた方もおられたかもしれません。かつては、高校生の授業で見学会がもたれたことがあったとの説明もありました。


大阪城へ移動し昼食、その後


此花区にある新日鐡住金株式会社製鋼所の見学をしました

住友金属は「西淀川大気汚染裁判」の被告企業の一つですが、現在は大気汚染を始め、環境対策をしっかりとって操業しています。

新日本製鉄と住友金属は2012年10月に統合されていますが、大阪市此花区島屋5丁目のこの工場では 鉄道車両品、自動車・建設機械品、産業機械品の製造・組立が行われており、従業員, 1300人. 敷地面積, 482,634m2 の大規模な工場です。


初めに安全環境室と総務室の担当者から、企業活動全体の紹介がありました。
工場の概要と製造している鉄道部車両品の車輪や台車などの説明をうけました。
9000㌧プレス機や世界的に珍しい鍛造技術などが注目されています。
英語の事業説明ビデオがあり、大変わかりやすかったです。

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説明後、見学用ヘルメット、上着、手袋を借りて工場内の見学です。
新幹線を初めとした鉄道車輪・台車の製造工程の一部を見学しました。曲線通過時の車両・レールの摩耗や騒音を防止するため、レールの曲線に従うように車輪の位置を調整する機構を備えた操舵台車の実物模型も見学しました。


その後、全体での質疑の時間では

Q:マンションや観光施設に隣接しているが、住民からの苦情はありませんか。

A:フォークリフトの構内移動時の警戒音は使用を止めて高輝度ライトに切り替えています。

A:この周囲一帯は工業地区であったが、周辺土地の用途変更により、この工場は住宅や観光施設が隣接した現在の配置になっています。


この工場見学では、独自で開発した世界唯一の車輪用回転鍛造プレス機など、日本の高度な技術の一部に直接触れることができ、緻密な作業の様子に参加者の注目が集まっていました。さらに、この工場で努力されている環境への配慮も説明され、きれいな水と空気を守るために、排水処理設備、排ガス処理設備など最新の諸設備が環境の保全に効果を発揮しているとの説明がありました。

工場内は全てカメラ撮影は禁止でしたが、見学の最後に全員で記念写真を撮りました。

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西淀川高校に移動しました

大阪府立西淀川高校は地元の方々の強い期待と要請を受けて112番目の府立学校として西淀川区出来島に開校され、今年で創立38年目を迎えています。「知・徳・体」のバランスのとれた生徒の育成を目標にし、環境の問題や地域へ開かれた学校になるよう努力を続けている特徴ある学校です。西淀川ESDの一環として「菜の花プロジェクト」の推進校でもあります。

この学校での「環境の授業」や文化祭での展示を始め、あおぞら財団との協力関係にあります。


きれいに改修された食堂で、担当の先生とECOクラブの生徒が活動の紹介を行いました。

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菜の花プロジェクトの「紙芝居」で環境問題と廃油回収活動の説明の後、生徒への質疑がありました。

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Q:廃油の回収はいつでも大丈夫ですか。

A:西淀川区内にある回収ステーションを通じて行っています。あおぞら財団も回収ステーションの1つです。

Q:回収した油はどう活用していますか。

A:尼崎の工場で石鹸を作るリサイクルをしています。

A:阪急バスでは一部ですが、エネルギーとして活用されています

Q:このクラブに入るきっかけは何でしたか。

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A:クラブの友達に誘われて入りました。活動をはじめて楽しくなりました。

Q:将来どんな仕事につきたいですか。

A:地域の公務員として環境の仕事をしてみたいです。

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A:私は介護の仕事について、人の役にたちたいです。

A:私は接客の仕事をすると思います。

A:私は保育士になって働きたいです。

Q:このクラブで学んだことを教えてください。

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A:地域の方とのコミュニケーションの大切さを学びました。

A:畑の仕事をして、農業への関心が大きくなりました。

A:朝の掃除をしてきたので、身近な場所での日常の「緑」に気をつけるようになりました。

Q:集めた廃油でバスの走行が紹介されましたが、大阪ではどのくらい走っていますか。

A:大阪ではまだ少ないです。京都市では市バスで完全に使われています。

Q:クラブの活動で嫌いなことは何ですか。

A:掃除のときは虫が出てくるので嫌です。

A:モップ作業は埃が舞い上がってつらいです。

Q:環境や公害の歴史を授業で経験してどのような感想を持っていますか。

A:西淀川は大洪水や空気の汚れの経験があるので、西淀川以外の地域でも授業でこのような問題をとりあげれば、生徒の学習への興味が高まると思います。

A:公害だけでなく、地域の歴史を知ることは大事なことなので、他の学校でも授業でやるべきだと思います。


研修参加者から「高校生が地域社会のこのような活動に参加することが、とても重要だと思いました。私たちの国でも、皆さんの事例を広げて行きたいです。これからも、活動を続けてください。」との挨拶がありました。


担当の先生からは

「子ども達は、活動の内容を外国の皆さんに聞いてもらうことができて、とても良かったと思います。全体としてとても貴重な体験ができました。ありがとうございました。」とお礼の言葉がありました。

西淀川高校では、ECOクラブ生徒の活動紹介や生徒たちの活躍する様子が紹介されました。ここの高校生が、様々な困難を抱えながらもしっかり環境の問題に向き合い、学びを通じて自分の進路の問題へも引き付けて考えていることが、とても重要なことであったことを再確認しました。西淀川地域へ拓かれた学校になるよう努力している生徒と教師集団の姿は、研修参加者の母国での教育の示唆になると思いました。


西淀川公害訴訟の地域再生の一つとして活動している「ディサービスセンター・あおぞら苑」に移動して施設の説明を受けました。

施設長の 辰巳致さんから説明を受けた後、研修生から日本での福祉や医療の現状についての質問が多数出ました。
公害の問題は、福祉と背中合わせであることが理解できたようでした。

今日もスケジュールいっぱいの日程でしたが、真剣な研修生の活動が印象的でした。

(天野)

 

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みんなで公害を学びあおう 福島原発の被災者と西淀川大気汚染の被害者から(7/19)

日時:2015年7月19日(日) 13:00-16:00
あおぞらビル3階グリーンルームにて開催しました。参加者は35名でした。

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大学生から、弁護士さん、先生やNPO関係者など、多種多様な人たちが集まってくれました。

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福島からと、茨城からの避難者の3名のお話しがありました。
地震の被害の大変さ、その後に起こった原発事故、情報が錯綜している中で、どうやって避難してきたのかを短い時間のなかでお話ししてくれました。
私は、前で聞き手をしていたのですが、前列に西淀川公害の患者さんたちが座っていたのですが、福島・茨城からの避難者の皆さんへの共感が伝わってきました。公害患者さんだからこそ、困難な状況が分かるのだと思いました。新鮮な驚きでした。

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西淀川の患者さんは5人です。普段から語り部をしている永野さん岡崎さん池永さん山下さんに加えて、普段は語り部をしていない荒井さんも登場です。
西淀川の被害のお話しはもちろんですが、どうして裁判を始めたのか、運動を続けてどうだったのかを話してくれました。

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お話を聞いた後は、質疑応答をしてから、各グループに分かれて、原発の避難者と西淀川の公害患者との共通点について議論をしました。
白熱して「時間が足りない!」との声もありました。

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最後に、西淀川公害患者の永野さんから「あんたらは逃げたんやない」との力強いお言葉がありました。

感想から
・「怒り」という点が運動を続ける原点となること。
・運動はやろうと思えばいろんなやり方があること
・共通点と学びが、本当に多かったです。
・"被害"の内容は違うけれど、当事者同士で通じあうものがあったように見えました。
・教科書的な事実だけではなく、それぞれに違った事情・ストーリーがあり、それぞれが様々な思いで向き合っていることが分かった。
・情報の大切さ。疑うことの必要性。人間的な強さを感じました。
・今まで知らなかったこと、テレビやその他の報道では聞くことのできなかったお話を聞くことが出来て本当に良かったです。
・当たり前の生活が奪われたことへの怒りが同じ
・子供のために当たり前の環境を取り戻したい気持ち
・工夫とねばりで多くの人を動かせたことが今日につながっていると感じた
・「患者ががんばるから周りが動く」とか「手をゆるめたらアカン」とか、患者さん自身の運動への熱意が永く続けられる要因と思いました。

この取り組みは、西淀川公害の研修の再検討の一つとして企画したのですが、西淀川公害の学びの可能性を教えてくれたように思います。
お話しして下さった福島原発の避難者のみなさん、西淀川公害患者と家族の会の皆さん、参加者の皆さんありがとうございました。(林)

地球環境基金助成事業

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7/3 授業実践報告 どう教えてる?「西淀川公害」~高校編~

前回の実践報告の様子

環境教育の原点とも言われる公害教育は、被害が深刻だった1960年代~70年代に活発に取り組まれましたが、その後、下火になっていました。
しかし福島原発事故以降、かつての教訓から学ぶことへの関心が高まっています。
あおぞら財団では、「ドコモ市民活動団体への助成(環境分野)」を受け、改めて公害をどう教えるか、考える場を企画しました。

西淀川公害の歴史を踏まえつつ、ユネスコスクールとしてESDの視点をもって環境・公害教育に取り組んでいる西淀川高校でのこれまでの実践報告と、前回の大阪市立磯路小学校の実践報告のふりかえりを行います。

積極的なご参加、お待ちしています。

◆◇◆ 授業実践報告 どう教えてる?「西淀川公害」―高校編― ◆◇◆

日 時 2015年7月3日(金)15時00分~17時00分

場 所 あおぞらビル3階グリーンルーム

内 容 報告「西淀川高校での公害に関する授業実践について」
門谷充男さん(大阪府立西淀川高校)
・前回(5/10)のふりかえり(大阪市立磯路小学校での実践教材・資料等の共有)
*前回の様子はコチラ
・西淀川での公害授業案作成にあたって意見交換

参加費 無料

その他 資料準備の都合上、参加をご希望の方は、あおぞら財団まで事前にご一報ください。

◆連絡先
公益財団法人公害地域再生センター(あおぞら財団)
担当 栗本知子
〒555-0013 大阪市西淀川区千舟1-1-1 あおぞらビル4階
電話 06-6475-8885
FAX06-6478-5885
メール webmaster@aozora.or.jp
URL http://aozora.or.jp/

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第53回IATSSフォーラム1日目(6/18)

6月18日~21日の3日間、IATSSフォーラムのプログラムの一環でASEANの9カ国18人の研究生の受け入れをしました。
このIATSSフォーラム公益財団法人国際交通安全学会がASEANの優秀な若いリーダーが約2カ月にわたって日本で行う研修です。3日間西淀川にも訪れ、あおぞら財団で研修をしました。

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職員による説明中。

まず、西淀川公害が一体どのようなものか、地域再生とはどのようなものか、またあおぞら財団についての話がありました。昔の西淀川の写真をスライドで流すと、研修生の方たちは驚いた表情を見せていました。日本にも空が見えないような時があったと想像が付かないのかもしれません。
Q:あおぞら財団の取り組みでもあるとは、CO2排出量削減のために行っているのか?燃料を減らすために行っているのか?
A:エコドライブはCO2排出量削減も、燃料削減も両方の意味を持っている。急発進・急ブレーキを控えることで、一台のトラックからのCO2削減も燃料削減も行える。また、CO2全体を削減するために古い車の規制なども行える。
Q:あおぞら財団が地域社会とともに地域を作ってきたが、どのぐらい成果が出ているのか?また成果をはかる指標はあるのか?
A:どれぐらい成果が出たか、それをはかるような指標はない。ただ、近年西淀川は人口が増加している。人口が増えているということは、西淀川が住みやすい地域だということではないか。西淀川に住んでいる人たち全員で地域を作ってきたということになるのではないだろうか。

 

西淀川公害裁判の弁護士であった村松昭夫弁護士から裁判の話を聞きました。
村松弁護士からはなぜ大気汚染の裁判が難しいのか、また西淀川公害の裁判の難しさについてなどの話をしてもらいました。実際に西淀川からは離れた工場や企業から排出されたNOxなどが中心となっていたため、因果関係の証明がとても難しかったそうです。実際に研修生の国でも公害が起こっているので、とても真剣な様子で話を聞き入っていました。

裁判について話していただいた村松弁護士。
裁判について話していただいた村松弁護士。
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メモを取りながら真剣な様子で聞き入っています。

Q:フィリピンでも現在大気汚染が問題になっており、予防措置はとっている。今後自国でもなくしていきたいが、日本の国や自治体では大気汚染防止に対しての法律はあるのか?
A:現在日本には国にも自治体にも大気汚染などの公害防止のための法律は多くある。汚染物質の総量をはっきりと明確化することによって、どのような対策をするか決めることが出来る。その対策を利用して、全体の汚染物質の総量を減らすことが出来る。また公害健康被害補償法のように、公害認定された患者への補償費や治療費を加害者側である企業が負担をする。そうした制度と作ることで企業側も負担を減らそうと対策を練るために、汚染物質を減らすことが出来る。そういった制度や法律を作ることは、汚染物質を減らすのに有効な手段となっている。
Q:勝てないと思われていた西淀川の裁判が勝てた一番の要因は一体何か?
A:裁判に勝てた要因は立場によって異なってくるため、一つだけではない。一つあげるとすると、裁判官をどのように説得をさせるかという点が挙げられると思う。裁判官を説得させるにも
1)裁判官の人間的な思いや気持ちといった心の部分を揺らす必要がある。
2)公害患者の受けた被害の理不尽さを訴えることで、裁判官の持つ正義の心をしっかりと持たせることが重要である。
3)国や大企業を相手取る裁判では、裁判官が被告を相手に勇気のある決断を出せるような世論の流れを社会全体に持たせる必要がある。
以上の点で裁判官を説得させることが大切だったのではないか。

 

公害患者さんからは永野千代子さん、山下晴美さんを迎えて当時の話や経験についての話をしてもらいました。永野さんはご自身や家族の被害の、山下さんは旦那さんの被害の辛さや苦しさについて話をしてもらいました。研修生の方は話を聴き逃さないように聞き入っていました。

話をしてくれた山下さん(写真左)と永野さん(写真真中)
話をしてくれた山下さん(写真左)と永野さん(写真真中)
研修生からは質問が続きました。
研修生からは質問が続きました。

Q:西淀川公害の裁判を行うために、どのように患者を集めたのか。患者会を作るのにNPOのような団体が入って患者を集めたのか。また、公害患者が裁判を行うと決めて進んだいきさつにはどのようなものがあったのか。
A:患者会を作るのにはNPOのような団体は入っておらず、患者会自体がNPOのような働きを持っている。西淀川の病院の医師も働きかけてもらい、患者を集めた。裁判を行ってきたいきさつには、何が理由で空気が汚れ、なぜ私たちが病気になったのかを知りたかったから裁判を起こした。
Q:裁判に原告側が勝訴した理由には何があったのか。
A:それは自分たちの子どもや孫、ひ孫の世代には青い空を手渡したいという強い思い、勝たなければいけないという強い思いがあったのだと思う。

 

午後からは歌島橋交差点にて国土交通省のの方に来てもらい、道路対策について話を伺いました。裁判後に行われた騒音対策や交通流対策などの説明をしてもらいました。

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歌島橋交差点での説明の様子。
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あおぞらイコバにて質疑応答中。

Q:騒音対策などの道路対策技術は、日本の他の件でも利用をされているのか?
A:遮音壁などの騒音対策はほぼ同じものが日本全国でも活用されている。だが、光触媒による大気浄化などの技術は大気汚染がひどい地域でのみ使われている。今後は西淀川で使われているような対策を他の地域でも採用する可能性はある。
Q:地元住民と行政側が話し合っていると言っていたが、行政側から声をかけたのか。それとも住民側から声をかけたのか。
A:西淀川地域では行政側で汚染状況や現状についてのデータをそろえてから、住民側に声をかけるという形をとっている。だが、住民側から話し合いの場を設けられても拒否することはない。

 

その後、9人ずつの班に分かれました。A班はタンデム自転車を利用して大野川緑陰道路を通って矢倉海岸までいく間、B班はグループワークを行いました。A班があおぞら財団まで戻ってくると、次はB班がタンデム自転車に乗り、A班がグループワークを行いました。
どちらの班もタンデム自転車にのって淀川までのサイクリングをとても楽しんでいたようです。

A班の皆さん楽しそうです。
A班の皆さん楽しそうです。
A班矢倉海岸にて。
A班矢倉海岸にて。
B班は淀川と一緒に。
B班は淀川と一緒に。

グループワークについても、感想や自分の国の公害・環境問題について真剣に意見の共有を行っていました。最後に全員での共有を行いました。真剣に話し合った内容の共有をし、1日目の研修は終了しました。

真剣に話し合っています。
真剣に話し合っています。
たくさん書き込んでいる姿が分かります。
たくさん書き込んでいる姿が分かります。
全員で最後に共有をしています。
全員で最後に共有をしています。
たまに笑いを交えての発表でした。
たまに笑いを交えての発表でした。

 

天気も蒸し暑く、慌ただしい日程の中でしたが研修生の方々は真剣な様子で話に耳を傾けていました。
1日目の最後にはあおぞら財団が定期的に行っている「あおぞら野菜市」で出店しているさんと、ハラール料理を取り扱っている大阪ハラールレストランさんから料理を用意してもらい、あおぞら財団の職員と懇親会を行いました。食事を囲ってわきあいあいと話も出来ました。
こうして交流をすることも出来るのも、いい体験になりました。

フォーラム2日目のブログはこちらになります。
(松ヶ平)

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7/19 みんなで公害を学びあおう 福島原発の被災者と西淀川大気汚染の被害者から

日時:2015年7月19日(日) 13:00-16:00

場所:あおぞらビル3階グリーンルーム
〒555-0013 大阪市西淀川区千舟1-1-1
JR御幣島駅11番出口すぐ
定員 40人 要申込(7/17まで)託児あり
http://aozora.or.jp/accesscontact
主催:あおぞら財団
協力:大阪市立大学除本理史ゼミ
地球環境基金助成事業

オプション:2015年7月19日(日) 16:00-17:00
西淀川フィールドワーク
解散場所 阪神なんば線出来島駅

みんなで公害を学びあおう チラシ_ページ_1
みんなで公害を学びあおう チラシ

大阪西淀川は、工場と自動車の排ガスによる大気汚染公害に悩まされた地域です。公害患者が裁判に立ちあがり、21年の長きにわたって国と企業と戦い、裁判に勝利しました。裁判の和解金は地域再生に活用され、まだ自動車による大気汚染の問題を残しつつも、患者・住民・行政・企業の協力した取り組みで街は改善され、子育て世代を中心に人口が増えています。
現在の大きな公害問題は、福島の原発問題です。福島の原発関係の訴訟は21にも上り、原告数は1万人を超えました。大阪にも福島原発の被害を逃れて避難してきた人たちが多く、その方々も裁判を提訴しています。
公害の問題はどこにあるのか、共通点があるのか。関西在住の福島の被災者と西淀川公害の裁判の原告のみなさんからお話を伺うことで、公害について考える時間を持ちたいと思います。

<オプション> 西淀川フィールドワーク
移動:徒歩 歩きやすい靴でご参加ください
あおぞら財団→大野川緑陰道路→関西スーパー→あおぞら苑→千北診療所→43号線→出来島小学校(大気汚染の測定所)→出来島駅

<連絡先>
公益財団法人公害地域再生センター(あおぞら財団) 担当:林
〒555-0013 大阪市西淀川区千舟1-1-1あおぞらビル4階
TEL06-6475-8885 FAX06-6478-5885
webmaster@aozora.or.jp

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大阪大学未来共生博士課程フィールドワーク(5/29)

5月29日(金)に大阪大学未来共生博士課程の学生さんのフィールドワーク受け入れを行いました。
総勢15名の学生さんと加島駅前から、西淀川区内をバスで見て回りました。

竹島の工場地帯や佃の町の中をバスで見て回り、バスから窓を開けて車の排気ガスの臭いがするか確認している学生さんもいました。
また、バスの中では住宅外の中にある工場や、工場地帯を見て話し合う声がバスの中で聞こえました。

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国道43号線を淀川方面へと走ると、一度出来島小学校で下車をして道路対策についての説明を受けます。
実際に43号線沿いで話をするので、声を張り上げなければ聞こえません。
「どのような対策がとられたのか探してみてください。」と言われると何人かで集まって相談をしていましたが、なかなか難しかったようです。

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再びバスに乗ると、関西スーパーまで移動しました。
ここから大阪大学の学生さんは3人1組になり、西淀川の人にヒアリングをしました。
淀川通り沿いか、大野川緑陰道路を使ってあおぞら財団へ帰る途中で話を聞かせてもらうという形になります。

各班が全員あおぞら財団へと帰ってくると、聞いたお話と感想についての共有をしました。

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グループ1

・60~70代ぐらいの男性。
この方は「西淀川の好きなところはどこですか?」と聞くと、大野川緑陰道路や公園が好きだと話をしていました。また、阪神高速神戸線の高架下にある休憩できる場所を気に入っているそうです。大野川緑陰道路がまだ川だった頃はとても汚かったという話も聞かせてもらえました。

・60代ぐらいの女性。
この女性からは西淀川の気取らない、下町の雰囲気が好きだと話をしてくれたみたいです。マンションが増えつつある西淀川でも人づきあいが多いところも、西淀川の好きな場所としてあげてくれました。そして以前はどれぐらい空気が汚かったかと、昔の西淀川のことについても話を聞けました。

・感想
ちょうどヒアリングをした時間帯が午後3時ぐらいだったため、話を聞ける方が年配の方が多かったので若い方がどんな風に西淀川という地域を思っているのか気になりました。
ヒアリングをする時に「西淀川に住んでいて困ったところはありませんか?」と聞いたところ、「困ったことはないなぁ。」と返事がありました。それはまちづくりが西淀川で行われてきたためなのかと思いました。また、大気汚染公害があったけれど西淀川に住んでいるのも、まちづくりの成果なのかと思いました。

 

グループ2

・40代手前ぐらいの女性。
この女性は仕事の関係で西淀川へと引っ越してきた方でした。西淀川は以前よりも空気がきれいになり、トラックなどの大型車の交通量が減っていると話をしてくれました。交通の便が良い分、騒音に悩まされやすいけれど対策がきちんと取られているところを良い点にあげてもらえました。唯一早朝に走る貨物列車にだけ困っているそうです。
困っている点とは違うけれど、西淀川地域は地盤沈下の影響もあって海抜ゼロメートル地帯なので南海トラフ地震が起こるかもしれないと思うと怖いと言っていました。

・感想
西淀川という地域は大気汚染公害地域と知っていたけれど、想像をしていたよりもまちの人は優しく、空気もきれいでした。授業で西淀川へ来る前よりもイメージはとても良くなりました。町の中で将棋をしている人たちを見ていると、ほのぼのとした町だと思いました。
しかし、いまだに自動車から出る排気ガスの問題を抱えているのも、実際にまちの中を歩いて体感しました。また、関西スーパーを利用する外国人の多さを見ていると、外国人の人たちは地震や津波が起きた時の避難所などを知っているかどうか危機感を覚えました。彼らにもきちんと情報を伝えなければいけないと思います。

 

グループ3

・30代ぐらいの2人組。
この2人も西淀川へ引っ越してきたのだと話してくれました。西淀川に引っ越してくる前には周りの人に「西淀川は空気が悪いよ。」と聞かされていましたが、引っ越してきてみるといいまちだと思ったと話されました。
西淀川で困っているところには、敢えてあげるなら自転車のマナー違反をしている人が多いのが目立つと言っていました。

・感想
まちの中をバスで回っていると一戸建ての家が多く目立ち、キレイな家が多いなぁと思いました。悪いイメージが先だっていましたが、良い意味で西淀川は普通のまちだと思います。なのに、ヒアリングでもあったように他の地域では悪いイメージがどうしても抜けていないのはなぜなのか不思議に思いました。来てみると良いまちだと分かるので、悪いイメージが改善されていてもおかしくはないと思います。

 

グループ4

・関西スーパーの近くにあるガレージセールの店員。
この方は京都に住んでいて、週に1回西淀川にあるお店にまで仕事で来ているそうです。好きなところを聞いた時に、まず大野川緑陰道路をあげていました。他にも住んでいる人たちの人柄の良さや、人間関係の良さが西淀川の良さとしてあげられました。

・70~80代ぐらいの夫婦。
好きなところを聞くとご夫婦も大野川緑陰道路を最初にあげていました。緑がとてもキレイで四季を感じられるということが緑陰道路の良いところだそうです。そのためにはボランティアの人が定期的に掃除をしており、きちんと気を使っているのだなと話してくれました。ただ、もう少し緑陰道路にイスがあると便利だなぁとも言っていました。
困っている点としては、バスの便数が減らされて不便になったところと、バス停が汚いところをあげてくれました。

・感想
元気な人が多いまちだなと西淀川を見て回り思いました。緑陰道路が好きだと話してくれる区民の人を見ていると、風景を変えることによって住みやすいまちになったのかと思います。また、風景を変えるということでまちが作られてきたのだと歴史を感じられました。ですが、緑陰道路を見ていると人が歩く場所と自転車の走る場所が分かれていても、横断歩道などでぶつかりそうで心配でした。ご夫婦が言うとおり、緑陰道路にイスが少ないのも気にかかりました。

 

グループ5

・60~70代ぐらいの将棋をしていた男性。
この方に話を聞くと、大気汚染がひどかった当時に比べればマシだと言うお話をしてくれたそうです。

・将棋をしているのを見ていた男性。
昭和30年代に四国から引っ越してきた男性も、将棋をしていた男性と同じく空気が吸えるだけ今はいいという話をされたそうです。大阪に引っ越してきた当時は空気がひどく汚いことにとても驚いたそうです。また、今西淀川に住むことが出来るのが良いことだとも話してくれました。

・感想
今の西淀川はいろいろなことが起こり、それを解決してきた頑張りの蓄積なのだと思いました。しかし、地盤沈下やゼロメートル地帯の話を聞くと今後の震災対策を出来るだけ早くとる必要があると思いました。また、西淀川のように空気が段々とキレイになっていく地域もあれば、空気が悪く問題になっている所があるのが日本の現状なのだと思いました。

 

西淀川に来てもらい、話をしてみて良い印象を受けてもらえたのは本当に良かったと思います。
西淀川区以外に住んでいる人から、どのように見えるのか聞けたのは新鮮な機会でした。
次は大阪大学にて公害患者さんの話を直接聞くことになります。
また、西淀川の違う面を見てもらいたいと思います。

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(松ヶ平)

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